「いずも」など防衛費1.1兆円、コロナ対策に回すと…<2020年 核廃絶の期限>

2020年7月26日 06時00分
 核兵器予算を新型コロナウイルス対策に回せば、必要な医療をどれだけ提供できるか―。非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が、米英仏3カ国の核軍備費を基に試算したところ、多くの命を救うための医療態勢を整備できることが浮き彫りになった。感染拡大で医療崩壊が懸念される国が少なくない中、軍事費を削減してコロナ対策に充てる国も出てきた。(柚木まり)
 ICANは、主な核保有国のうち比較的情報が得やすい米英仏で、核兵器に使われた昨年の費用などを用いて試算した。

◆米の核関連3.8兆円は22万人分の給与

 核大国の米国は、コロナの感染者と死者がいずれも最多。核の小型化を進める核兵器関連予算351億ドル(約3兆8000億円)を医療費に置き換えると、集中治療室(ICU)のベッド30万床と人工呼吸器3万5000台を用意でき、看護師15万人と医師7万5000人の給与をまかなえる。
 英国が新しい原子力潜水艦システムの構築などに使った72億ポンド(約1兆円)は、ICUのベッド10万床や4万人の医師の給与などに相当。フランスは2025年までの7年間の核軍備予算から、19年分を45億ユーロ(約5600億円)と推計すると、ICUのベッド10万床や医師1万人の給与などに充てられる。
 これとは別に、日本で防衛費を当てはめるとどうか。ICAN国際運営委員の川崎あきら氏の試算では、20年度の防衛予算のうち、戦闘機購入や護衛艦「いずも」の事実上の空母化など新規契約分の1兆1000億円は、ICUのベッド1万5000床と人工呼吸器2万台に加え、看護師7万人と医師1万人の給与に相当する。

◆韓国、国防費1600億円を削減

 実際に、軍事費を削減してコロナ対策に回す国も出ている。韓国は今年の国防予算の3.6%に当たる計約1兆7700億ウォン(約1600億円)を削減。米製戦闘機の導入費などの予算を、全国民対象の給付金や中小企業支援などコロナ対策の財源とした。インドネシアやタイ、フィリピンなどでも同様の動きがある。
 核兵器廃絶を目指す科学者でつくる「日本パグウォッシュ会議」副代表で千葉大の栗田禎子よしこ教授(中東現代史)は「どの国も社会保障や医療費の財源確保が待ったなしだ。核兵器の近代化や軍拡に一銭も出している余裕はない。核廃絶に向けてかじを切るチャンスだ」と指摘している。

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