<検証 新型コロナ>(3)連日のPCR、迅速に 相模原市保健所「対応は暗中模索」

2020年7月26日 07時24分

新型コロナ対応を振り返る鈴木さん=いずれも相模原市中央区で

 二月十七日、相模原市は、相模原中央病院(中央区)の看護師の新型コロナウイルス感染を発表した。同病院は新型コロナによる国内初の死者となった女性が入院していた。院内感染が疑われる事態に、最前線で対応する市保健所に緊張が走った。
 当時は国内の感染者はまだ少なく、対応方法が確立されていなかった。どこまでPCR検査の対象とするのか、専門病床のない病院に感染者の対応に当たってもらうのか、どのように感染の広がりを抑えるのか、病院名を公表すべきなのか−。すべて判断を迫られた。
 「対応は暗中模索で不安があった」。鈴木仁一所長は振り返る。それでも発表の二日前から女性の接触者らのPCR検査を始めていて、入院患者ら四人の感染を確認した。

細心の注意が求められる作業(市衛生研究所提供)

 PCR検査を担う市衛生研究所(衛研)の負担も大きかった。検査員は五人、一台当たり二十検体調べられる検査機は二台で、一日の「検査能力」は四十検体。しかし、十九日は検査機を複数回動かし、病院関係者ら七十五人を検査した。
 その後も市内では感染者が相次いで判明し、PCR検査は連日行われた。相模原の一日の検査数が全国の約一割に上る日もあったという。「検査の作業は集中力や精神力が求められ、失敗できないプレッシャーもある。慣れない上に、連日夜中まで作業して寝不足も重なり疲労は大きかった」。ある検査員は振り返る。
 三月下旬、PCR検査機一台を導入し、三台態勢とするなど機材の配備が進み、作業効率は大幅に良くなった。感染経路不明の感染者が増えた四月は、これまでで最多の千人を超えるPCR検査を実施した。
 鈴木さんは「ただちに接触者を洗い出し、PCR検査したことが感染拡大を抑える上で有効だった」と評価する。これまで市内で発生したクラスターは中央病院と福祉事業所で、いずれも六人の感染者に抑えられた。
 迅速に検査が進められた一因に、鈴木さんは、保健所の組織内に衛研があり、円滑な対応ができたことを挙げる。衛研の担当者は検査結果を保健所と共有できる仕組みを導入したことで「衛研が検査結果を入力すると、保健所がすぐに把握し、早期に調査に着手できる強みがある」と語る。
 ただ、担当者は「第二波は第一波より大きいと予測され、検査数増も見込まれる。検査機の増設や検査員の増員によるさらなる態勢強化が必要だ」と危機感を隠さない。「保健所と衛研がクラスター対策を担って感染拡大を封じ、感染が疑われる人は民間の検査機関や医療機関が検査を行うなど、第二波までに役割のすみ分けを確立することが重要」と指摘する。

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