[冒険野郎と甘えん坊] 愛知県愛西市 宮尾美明(75)

2020年7月26日 08時00分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

<まここっと> 雑貨ブランドSWIMMERの元デザイナー。代表キャラクターは「りんご王子」。現在は独立してMa cocotte(マココット)ブランドを立ち上げ、展示会などで活躍中。メルヘンの中にレトロを盛り込んだタッチに定評。

◆300文字小説 川又千秋監修

[鯉(こい)の恩返し] 岐阜市・主婦・57歳 飯田英子

 毎朝、家の前の用水路を泳いでいる鯉に、朝食の残りのパンをあげるのが日課だ。
 最初は知らん顔をしていた鯉たちだが、今では、用水路の橋に立つだけで、遠くから顔を水面に出し、口先をパクパクさせ、猛スピードで波紋を作り近づいてくる。
 すっかり、顔を覚えられている。
 ある日、友人がパンを焼いたと言って、わざわざ持ってきてくれた。
 また別の日、近所の人が、高級食パンの店がオープンしたからと、買ってきてくれた。
 そして、しばらくたったある日、遠方に住む知人が、評判のパン屋さんのパンを手土産に、十年ぶりくらいに遊びに来てくれた。
 みんな、なんだか、毎朝見る何かに顔が似ていたが、それが何か、思い出せない。

<評>  何気ない日課のエサやりが、知らぬ間に大きな感謝の念を育てていたのかもしれません。小さなパンくずが、ふっくら香ばしい返礼品に姿を変えて、あちこちから届けられたのだとしたら…!

[睡眠学習] 東京都大田区・会社員・56歳 本多啓子 

 会社のお昼休みにランチをした後、ビジネス英語のオンライン放送を聞くのが日課だ。
 ところがいつも、最初の五分だけ聞いて、あとは英語のリズムを子守唄に、うたた寝してしまう。
 お腹(なか)がいっぱいだから眠くなってしまうのだ。
 不思議なことに、放送の最後に、講師の先生が番組の終了を告げているときに、必ず目を覚ます。
 眠っていても、脳は放送をちゃんと聞いているから、番組が終わることを理解できているのじゃないだろうか…という期待が、私の脳裏をよぎる。
 昔、流行(はや)った睡眠学習に飛びついたものの、効果はなかった。
 それをすっかり忘れ、たくさんの英語のフレーズが自然と脳に焼き付いていることを夢見ながら、今日も盛大に、うたた寝する。

<評> 昭和の一時期、外国語などの暗記科目が、眠っている間に、どんどん頭脳に刷り込まれるという、夢のような学習法が大流行したことがあります。でも結局、夢は夢だったようで、いつの間にかすたれました。


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