感染再拡大で現場は導入どころじゃ…残念な情報共有システム

2020年7月27日 06時00分
 東京都と大阪府で導入が遅れている新型コロナウイルス感染者の情報管理システム「HER―SYS(ハーシス)」に対しては、利用する自治体からも困惑の声が上がる。医療機関での導入が進まなければ、保健所の事務負担の軽減につながらないからだ。今も病院から手書きのファクスで感染者発生届を受け取った保健所が、手作業で患者の情報を入力しているのが実情だ。政府が感染拡大前にシステム導入を進めておかなかったツケが回っている。 (川田篤志)

◆医療機関からファクス→保健所で手入力

 ハーシスでは、検査を実施した医療機関が患者の名前や生年月日、連絡先を入力する。その後、検査結果や症状の変化などの情報を保健所や医療機関、患者が更新していく仕組みだ。まずは医療機関の利用が本格化しなければ、保健所の負担は減らない。
 だが、多くの都道府県は現在、感染の再拡大に対応を迫られている。福岡県の担当者は「医療機関にハーシス導入を支援するところまで手が回らない」と嘆く。結果として「医療機関からの手書きの発生届を保健所でハーシスに入力している」と明かした。

◆医師会は急かすが…

 北海道では5月末にハーシスの利用を始めたが、道内の医療機関への導入はやはりこれからだ。システムの不具合も発生し、担当者は「うまくいっていない部分がある」と認めた。感染者が急増している東京都と大阪府では、自治体によるハーシス利用を始められていない。ましてや医療機関に目を配る余裕はない。
 日本医師会は都道府県医師会に対し、政府の方針に沿ってハーシスの導入を急ぐよう求めている。東京都は「医療機関の数も多く、まずは保健所の導入を急ぎたい」と区と調整を進めるが、全ての医療機関で利用を開始できる時期の見通しは立っていない。

◆個人情報の取り扱いにも懸念

 東京都、大阪府の現場からは、ハーシスの個人情報保護に不安の声も漏れる。都内のある保健所長は「個人情報の取り扱いに関するセキュリティーに不安がある。陰性の人の情報はどこまで登録する必要があるのか」と打ち明けた。大阪府の担当者も、個人情報の取り扱いを庁内で調整中と本紙に説明した。

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