次の世代のためにも 桐生祥秀、大迫傑がオンラインで語る今の思い

2020年7月28日 06時00分
 陸上男子100メートル前日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)と、男子マラソン東京五輪代表で日本記録を持つ大迫傑(ナイキ)が、1年後の五輪へ向けオンラインによる報道陣の取材に応じた。それぞれの五輪の位置付け、コロナ禍における挑戦、アスリートとしてできることを率直に語った。(森合正範)

◆桐生、口にした言葉は「次世代」「子どもたち」

昨年9月の陸上世界選手権男子100メートル予選で力走する桐生祥秀=カタール・ドーハで(榎戸直紀撮影)

 桐生にとっての五輪は一歩一歩着実に走っていった先にあるもの。今はその「一歩」を大切にしたいという。
 「試合は五輪以外にもあるし、五輪以外でも元気づける走りをしたら、次世代(のアスリート)や子どもたちに喜んでもらえる。五輪ばかり考えるより、目先の大会、やりたいことをやって、その延長線上に五輪があるイメージ」
 24歳のスプリンターはまだ成長段階。1年延期の東京五輪をプラスに捉えている。
 「肉体的、精神的に成長してきて、さらに1年延びる。100メートルで決勝に残って、勝負する目標は変わらない」

オンライン取材に応じる男子短距離の桐生祥秀

 緊急事態宣言中は人との接触を避け、早朝5時や午後9時以降、マスクを着けて走っていた。他の時間は読書に充てたり、「陸上選手じゃなくなったら、どうしよう」と考えたり。なかでも、中学、高校生アスリートとオンラインで触れ合うことが意義深かった。
 「いろいろな意見があって楽しかった。現役のアスリートだからこそ、次世代に伝えられることがあると思った。今後も続けていきたい」
 今回の取材で多く口にした言葉が「次世代」「子どもたち」。コロナ禍に考え、交流を通じ、伝えたいことがより増えた。レースに出場したのは昨秋の世界選手権(ドーハ)が最後。今夏、踏み出す新たな一歩へ意欲をみせる。
 「まずは試合勘を取り戻して、スポーツで夢を一つでも与えられたらうれしい」

◆大迫は大学生と陸上チームを発足

3月の東京マラソンで力走し、日本記録を更新した大迫傑(手前)

大迫が拠点とする米国は新型コロナウイルスの感染拡大が深刻だ。だが、オレゴン州ポートランドの滞在地は都心部から離れており、大きな不安はないという。
 「練習はこれまでも1人や少人数でやることが多かった。おろそかになっていることはないし、ストレスもない」
 東京五輪について「集大成の一つ」と言いつつも、冷静に淡々と思いを語った。
 「何としても開催してほしいという気持ちはないことはないけど、そこまで強くはない。コロナの影響で来年五輪があるか分からない。なくなれば、また次の目標に向かってやっていくだけ。自分の価値を上げていくだけ」

オンライン取材に応じる男子マラソンの大迫傑

 1年延期になった今、見せられることがあるという。
 「(延期で)できた時間を後輩のために動いていく。この状況下でしっかり努力を続ける姿や挑戦を見せたい」
 その一つが、新たに発足する日本の大学生10人程度を対象にした陸上チーム「Sugar Elite(シュガー・エリート)」。トップ選手と大学生が所属の垣根を越え、まずは来月の合宿を計画する。極めて珍しい試みだ。
 「僕らトップ選手が五輪を前にどういう練習をして、どういう姿勢で競技に取り組んでいるのかを知ってほしい。引退してからでは無理。五輪前だけど、そこが大事」
 後輩たちに背中を見せることが、今できることであり、日本を強くする近道だと力がこもる。

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