「生誕」像、上野に再び 彫刻家・故朝倉文夫さんの作品 下町風俗資料館に19年ぶり 

2020年7月28日 07時11分

下町風俗資料館の脇に復活した「生誕」像 =いずれも台東区で

 台東区は今月、彫刻家で名誉区民の故・朝倉文夫さんの作品「生誕」のブロンズ像を、上野公園内にある区立下町風俗資料館の脇に設置した。かつて上野に存在した像で、十九年ぶりの復活となる。 (井上幸一)
 区によると、生誕像は戦後すぐの一九四六年に型が制作された。新生日本で立ち上がる若人を、釈迦(しゃか)誕生のポーズに重ねた作品。東京五輪が催された六四年、上野公園入り口に整備された生誕噴水塔の象徴として上野の街にお目見えした。二〇〇一年、地下駐車場整備に伴い噴水塔は撤去され、生誕像は区立朝倉彫塑館(谷中七)の収蔵庫で保管されていた。
 区では、再び東京で五輪・パラリンピックが開かれることから、昭和、令和の東京大会の象徴にと、以前立っていた場所の近くに再設置。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、十五日の除幕式は関係者のみで実施した。
 美術館巡りに上野を訪れた画家の伊東広幸さん(75)=江戸川区=は生誕像を見上げ、「噴水のところにあった像も見たことがある。西郷さんの像と並ぶ上野のシンボルだったので、よく帰ってきてくれたという思い。保存の状態もいいね」と感慨深げに話していた。
 再設置を記念し、下町風俗資料館では九月十三日まで、噴水塔の銘板や、位置が記された地図などのミニ企画展示を実施。朝倉彫塑館では同九日まで、像のミニチュアなどを紹介している。
<朝倉文夫> 1883(明治16)年、大分県生まれ。1907(明治40)年に東京美術学校(現在の東京芸術大美術学部)を卒業、下谷区天王寺町(現在の台東区谷中)にアトリエ兼住居を構え、本格的に創作活動を開始した。代表作「墓守」、早稲田大学の大隈重信像などを手掛け、日本彫刻界の中心的な存在として活躍。48(昭和23)年には彫刻家として初めて文化勲章を受章した。64(昭和39)年に81歳で死去。アトリエ兼住居は、美術館「台東区立朝倉彫塑館」となり、作品、コレクションを展示している。

1993年ごろの生誕噴水塔。上野公園の入り口にあった(下町風俗資料館提供)

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