「Go To」混乱 挽回へ政府が次の一手 「ワーケーション」って何?

2020年7月29日 06時00分

観光戦略実行推進会議であいさつする菅官房長官(左端)=27日、首相官邸

 新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、安倍政権は旅先で休暇を楽しみながらテレワークする「ワーケーション」など観光振興の経済活性化策を打ち出している。開始直前で東京を除外した観光支援事業「Go To トラベル」の混乱を挽回し、観光産業をてこ入れする狙いだが、さらなる感染拡大を招くとの指摘もある。(後藤孝好)

◆ワーク+バケーション

 「遠出の観光に二の足を踏む状況で、身近な観光の魅力を再発見、再発掘する機会にしていただきたい」。小泉進次郎環境相は21日の記者会見でワーケーション普及の意義を強調した。英語の「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語で、リゾート地に滞在しながら、パソコンなどを使い仕事をする。
 菅義偉官房長官も27日の政府の観光戦略実行推進会議で「新しい旅行や働き方のスタイルとして支援していく」と明言。出張前後に休暇を取って余暇を楽しむ「ブレジャー」とともに推進し、観光需要掘り起こしを図るよう指示した。

◆コロナでインバウンド激減

 背景にあるのは観光業の苦境だ。
 安倍政権は観光を成長戦略の柱に位置付ける。日本を訪れる外国人旅行者は2013年に1000万人を突破し、19年には3188万人に伸びたものの、新型コロナまん延で出入国規制が強化され、今年1~6月の上半期は394万7000人にまで落ち込んだ。東京五輪・パラリンピックが予定されていた20年は4000万人を目標に掲げていたが、実現は絶望的だ。
 政府はあの手この手で国内の需要喚起を探っている。環境省は22~26日、東京都内の新宿御苑で、テント内に椅子とテーブルを置きワーケーション体験イベントを開催。新型コロナの緊急経済対策として、国立公園内のWi―Fiの導入やツアー開発などに計22億円を計上して旗振り役を務める。
 観光地を抱える地元にはワーケーションへの期待がある。和歌山県情報政策課の担当者は「閑散期も客を呼べる経済効果や、都会から人が来て地元と交流し、コラボ企画も可能だ」と積極的な活用を呼び掛ける。

◆地方へ感染広げる恐れも

 一方で、ワーケーションを活用できるのは一部だとの見方もある。立憲民主党幹部は「平日に客が入ってくれたら地元はありがたいが、テレワークができる職種の人しか来られない」と指摘する。エッセンシャルワーカーと呼ばれる食品店の販売員や宅配業者、医療や公共交通の関係者など、生活に必須な仕事に従事する人たちは持ち場を離れられないのが現実だ。
 通常の旅行と同様に、感染を都市部から地方へ広げる恐れもある。国民民主党の原口一博国対委員長は「感染を広げ、混乱を生むのではないか」と語る。
 無所属の山井和則衆院議員は「労働時間をどう計るのか。机上の空論だ」と運用の難しさを指摘。共産党の志位和夫委員長は記者会見で「余暇を過ごしながら仕事というのは、余暇と言わない。それは仕事だ」と述べた。

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