改憲で「虹色アイス」とばっちり 同性婚禁じたロシア、LGBTに逆風強まる

2020年7月29日 14時00分

青少年育成に悪影響を与えるとの批判が上がっている虹色アイス=小柳悠志撮影

 ロシアで同性婚を事実上禁じる改正憲法が成立し、性的少数者(LGBT)への逆風が強まっている。LGBTの権利を象徴する「虹色旗」を思わせるとして、市販の「虹色アイスクリーム」までもが批判のやり玉に挙がっている。(モスクワ・小柳悠志)

◆メーカー「虹は自然現象なのに」

 改憲直後に話題となったのが「虹色問題」。3日、プーチン大統領とのテレビ会議で、保守系政治団体「女性連合」のエカテリーナ・ラホワ代表(72)は「虹色アイスは子どもがLGBTに興味を持つきっかけになる。青少年の健全育成を阻害する」と珍説を披露し、販売中止を求めた。
 虹色アイスは大手メーカー、チスタヤ・リニヤが販売し、アイスや包装が虹色柄。プーチン氏はアイスへの評価は避ける一方、LGBTに関わる情報は統制する必要があると応じた。
 突然のアイス批判に面食らったのがメーカー。広報担当者は「虹は雨がもたらす自然現象。LGBTを無関係のアイスに結び付けられても困る」としつつ「製造が法的に禁止になれば従う」とロシアメディアにコメントしている。

◆「結婚は男女がするもの」と改憲

 ロシアは正教やイスラム教の影響で同性愛はタブー視され、2013年には「同性愛宣伝禁止法」が成立した。性的少数者のパレード開催を阻止し、出生率を向上させる狙いという。今回の改憲でも「結婚は男女がするもの」との条文が加わった。改憲後には性的少数者の権利擁護を訴えるデモに参加した人権活動家が逮捕されている。

モスクワの米国大使館前で虹色旗を背景に写るミアミシャさん=本人提供

 改憲の全国投票直前の6月末にも騒動が起きた。在ロシア米国大使館がLGBTの国際イベントを祝して虹色旗を掲げたところ、ロシアの保守派が「社会秩序を乱す」と反発。一方、一部の市民は賛意を示そうと虹色旗の下に集った。
 虹色旗を背景に記念撮影したミアミシャさん(21)=仮名=は「性的少数者に対するロシア社会の考え方は他国より遅れている。改憲で状況はさらに悪くなる」と本紙にこぼした。
 ロシアの同性愛者はこれまで、同性婚が認められている国外で婚姻関係を結び、その後にロシアで役所に届け出るケースがあった。ロシアのLGBT支援団体は、改憲でこうした同性婚事実化の手段が封じられると指摘している。

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