<解説>計画先延ばし、不適切状態を放置 再処理運営「資質」に疑問

2020年7月29日 11時21分
 青森県六ケ所村にある使用済み核燃料の再処理工場について、原子力規制委員会は6年半の審査を通じて事故対策が新規制基準に適合していると認めた。だが、肝心の施設を動かす事業者の資質には、大きな疑問符が付いている。
 原発を保有する電力各社の出資でつくられた日本原燃(原燃)は、過去の試験運転などで出た放射性廃棄物をあらかじめ決めた場所以外に仮置きする不適切な保管を最長約19年、続けている。改善を終えていないと規制委の事務局に報告したのは、6月末。審査が事実上終わった後だった。
 不適切な保管が発覚した2017年、原燃は19年8月までに改善する方針を示した。ところが実際は、極めて強い放射線を出す高レベル放射性廃液をガラスと混ぜた破片約160キロは、ステンレス製の容器に入れたまま、転倒防止措置すらせずに過ごしていた。
 原燃の広報担当者は原因分析で遅れたとし、「審査にめどが付いた段階で説明しようと思っていた」と語る。規制委の担当者は「ただちに安全上の問題はない」と判断。改善策の進展を10分確認せず、結果的に原燃のたなざらしを許した。
 使用済み核燃料を再利用し、別の燃料に加工して原発で使う「核燃料サイクル政策」は費用が巨額な割に実りがなく、既に破綻。1997年に完成予定だった再処理工場は、21年度上期にはできるというが、25回目の延長となる可能性も出ている。計画を繰り返し先延ばしにし、不適切な状態を放置してきた原燃に、見通しなき事業を国民が委ねる必要はない。 (福岡範行)

核燃料サイクル政策 原発の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを化学処理(再処理)で抽出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する政策。燃料の有効利用が目的で高レベル放射性廃棄物の量も少なくなるとされるが、中核となる再処理工場の完成が遅れ、各地の原発で使用済み燃料がたまり続けている。政府、電力業界は普通の原発でMOX燃料を使うプルサーマル発電を進めるが、東日本大震災以降、実施したのは4基にとどまる。

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