六ケ所の核燃再処理工場、新基準に適合 規制委が正式決定

2020年7月29日 11時36分

日本原燃の使用済み核燃料再処理工場=青森県六ケ所村

 原子力規制委員会は29日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の安全対策が新規制基準に適合しているとする「審査書」を決定した。工場は正式に審査に適合した。

◆21年度上期の工場完成は困難

 工場は、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、燃料として繰り返し使う国策「核燃料サイクル」の中核施設。適合は本格稼働に向けた一歩となるが、プルトニウムを利用する高速増殖炉は原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり開発が頓挫。一般の原発で使うプルサーマル発電も計画通り進んでいない。
 適合後も詳細な工事計画の審査などが続き、原燃が目指す2021年度上半期の工場完成は困難な情勢で、稼働時期は見通せない。
 原燃の増田尚宏社長は審査適合を示す許可書を受け取った後、記者団にプルトニウム利用の見通しを問われたが「まず工場を完成させるのが最大のミッション。国などの計画に沿って設備をしっかり動かす」と明言を避けた。
 記者会見した規制委の更田豊志委員長は「プルトニウムの(需給)バランスは、国の原子力委員会で議論、監視される」と述べるにとどめた。

◆原燃の能力を疑問視する意見が多数

 規制委が今年5月に取りまとめた審査書案に、一般から延べ765件の意見が寄せられた。過去の工場でのトラブルなどから、原燃の能力を疑問視する意見が多く、会合で伴信彦委員は「経緯を考えると懸念は理解できる。今後も引き続き監視、監督していく」と述べた。その後、審査書を決定することに5人の委員全員が賛成した。

再処理工場を巡る経過

 原燃は14年1月に審査を申請。耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)を最大加速度700ガルと設定し、敷地が海抜55メートルにあるため津波の影響は受けないとした。

◆総事業費は13兆9400億円

 工場は1993年に着工。当初97年の完成予定だったが、トラブルや東日本大震災の影響で完成時期が24回延期された。総事業費は13兆9400億円に上る見通し。 (共同)

◆「許可は不当だ」市民団体が規制委前で抗議

再処理工場の新規制基準適合に抗議する市民ら=29日、東京・六本木で

 青森県六ケ所村にある使用済み核燃料の再処理工場が新規制基準に適合していると判断した原子力規制委員会に対し、首都圏の市民らでつくる「原子力規制を監視する市民の会」などは29日、規制委が入る東京・六本木のビル前で「六ケ所再処理許可に抗議」と書いた横断幕を掲げ、「規制委の許可は不当だ」と抗議した。
 同会などは再処理工場で出た高レベル放射性廃液をガラスと混ぜるガラス固化製造試験でのトラブルなどを問題視し、事業者の日本原燃について「技術的能力がない」と主張。抗議行動の参加者は「核燃料サイクルが破綻しているのに、再処理工場の存在意義がないんじゃないか」と訴えた。
 核燃料サイクル政策に賛成という市民も、隣で持論を訴えた。 (福岡範行)

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