「パラアリーナ」のコロナ軽症者用100床、未だに使われず

2020年7月30日 06時00分

5月に患者の療養用を目的に設けられた滞在施設は、活用方法が決まっていない=東京都品川区で(魚眼レンズ使用)


 新型コロナウイルスに感染した軽症患者らが滞在する療養施設として、日本財団が障害者スポーツ専用体育館「パラアリーナ」(東京都品川区)内に整備した100床が2カ月間、1度も使われていない。財団は都の利用を想定したが、都は板で仕切った住環境をプライバシー保護などの点から、「宿泊療養に使うのは難しい」と説明。都内で感染が再拡大する中、活用方法は宙に浮いたままになっている。(原田遼、松尾博史、神谷円香)

 「船の科学館」敷地内にあるパラアリーナは、パラリンピック代表選手らが使っていた。財団は4月、都内の病院の逼迫を受け、支援事業として病床をつくることを発表。都や専門家の意見を取り入れ、5月に完成。内部を板で仕切り、1部屋あたり10平方メートルでベッドと机、ロッカーがある。
 今月28日には新たに、仮設の平屋14棟を駐車場に建て、個室150床設けたと発表した。いずれも整備費は財団が負担し、使用する際、運営や医療従事者の確保を都と協議する。
 7月1日には小池百合子知事が視察。「また陽性者が増えてきて、警戒するべき状況。都民の安心につながる」と謝意を語った。
 だが、アリーナの療養施設は完成から2カ月たっても活用方法が決まっていない。都の担当部長は、取材に「住環境という面で宿泊療養に使うのは難しい。病院が逼迫した時の(軽症者以外の)入院用ベッドとして提供されたものと考えている」と話す。
 一方、財団の担当者は「アリーナに入院患者を受け入れるための設備はない。当初から(軽症者らの)宿泊療養を想定してつくっている」と認識が食い違う。そもそも都から「活用方法に関する説明はない」と首をひねる。
 都内では、軽症患者らが滞在する療養施設が逼迫。都は28日、3カ所のホテルを療養施設として追加で指定した。アリーナと異なり、財団が新たに設けた個室の150床は「ホテルなどと同じ」として、活用を検討しているとした。
 国内には車いす競技やバリアフリーに対応した施設が少なく、アリーナはコロナ禍前までバスケットボールやラグビー、ボッチャなどパラ競技団体の予約でいっぱいだった。
 来夏の東京パラリンピックで金メダルを狙う日本車いすラグビー連盟の広報はコロナ禍の対応に理解を示しつつも、「選手層の底上げにつながっている。使えるならば使いたい」。アリーナで日本代表レベルから初心者までが集う練習会を週3回開いていたパラ・パワーリフティングの協会関係者は「交流の場でもあったので寂しい」と話した。
 日本財団の担当者は「選手への影響は承知しているが、いつ再開できるかは何とも言えない」と話した。

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