<ねぇねぇちょっと 特別編>女性社員だけトイレ掃除 ハラスメントの可能性

2020年7月30日 07時34分
 読者の悩みに読者が答えるコーナー「ねえねえちょっと」(毎週土曜日掲載)で、職場で女性だけトイレ掃除をさせられており、対処法に悩む相談(六月二十日)に、同様の体験談や意見が多く寄せられた。性差による業務の配分などの差別を禁じた男女雇用機会均等法や、六月に施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に違反するおそれがあるほか、専門家は、さまざまなハラスメントに該当する可能性を指摘する。 (細川暁子)
 相談を寄せた岐阜の女性(50)は正社員の事務職。三十人ほどの職場に女性は数人しかいないが、以前からトイレ掃除は男性用も女性用も女性社員がすることになっており、汚れると同僚の男性社員が女性社員に「掃除して」と言いにくる。
 上司らに何度も「男性用は男性社員で」と訴えたが、いつも適当にごまかされ何も変わらない。「今どき、女性社員だけがやらされるのはおかしい」と憤る。
 女性だけがトイレ掃除をさせられている職場はほかにもあるようで、愛知県の会社員女性(49)は「掃除職で入社したわけではないのに、男性のトイレ掃除をするのは嫌な思いしかない」と記した。
 一方、愛知県の別の会社員女性(59)の職場では正社員、パートなど雇用形態にかかわらず、男女全員が当番制でトイレ掃除をしており、女性用は女性、男性用は男性が担当。女性は「女性が男性のトイレ掃除を引き受けてしまうと『やってもらえる』と期待される。上司にもっとはっきり伝えた方がいい」と指摘する。
 埼玉県の契約社員の男性(67)の会社も七十人ほどの社員全員で順番にトイレを掃除しており、月に一〜二回ほど回ってくる。前の会社では業者が行っており、「最初は嫌だなと思った」。だが三十代の男性社長も当番に入っており、「自分で使ったものは自分できれいにするのは当然と感じるようになった」と話す。

◆均等法 業務配分の男女差別禁止

 男女雇用機会均等法は、職場での採用や配置(業務の配分などを含む)に対し、男女差別を禁止している。労働問題やハラスメントに詳しい、銀座さいとう法律事務所(東京)の斎藤健博弁護士(33)によると、トイレ掃除がそもそもの労働契約に含まれていないのに、会社が合理的な理由なく、女性だけに通常の業務に加え、掃除やお茶くみなどの雑務をさせることは、同法違反になり得るという。
 また、斎藤弁護士は「清掃員ではない女性社員に男性用トイレの掃除を強要することは、セクハラやパワハラになり得る」と指摘。パワハラ防止法では、パワハラを、優越的な関係を背景に、業務上の範囲を超えた言動で、労働者の就業環境が害されること−と定義。性別にかかわらず、上司が特定の人だけに掃除を指示したり、「やらなければ辞めさせる」「減給する」などと言ったりすることもパワハラにあたる可能性がある。
 対処法として、斎藤弁護士は「まずは労働者側が、はっきり拒否の意思を示すことが必要。状況が変わらなければ、労働組合などに相談するのも手」と話す。
 性別による役割の期待や押しつけは「ジェンダーハラスメント」とも呼ばれる。転職支援会社の「ワークポート」(東京)が二月に二十〜四十代の転職希望者三百人に調査したところ、三割が「職場で男性・女性らしさを押しつけられた経験がある」と回答。自由記述で女性には「社内清掃を強制された」「来客にお茶を出すのは女性と言われた」、男性には「(男性だけ)深夜残業を強制」「(男性は)お酒を飲めないといけないと言われた」などの声がそれぞれあった。
 ハラスメントに詳しく、首都圏を中心に活動する政策コンサルタントの小林敦子さんは「トイレ掃除を女性だけに行わせるのは典型的なジェンダーハラスメント。職場全体で同じ問題意識を持つ仲間を増やしながら、状況を変えていくといい」とアドバイスする。

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