香港民主派の支持者に嫌がらせ、監視も 国案法施行1カ月、萎縮する市民生活

2020年7月31日 05時50分

デモのテーマソング「香港に栄光あれ」のメロディーと同じ声調の数字を並べた壁=28日、香港で(本紙臨時スタッフ撮影)


 【上海=白山泉】香港の統制を強化する香港国家安全維持法(国安法)が30日、施行から1カ月となった。法を振りかざして脅しをかけることで、市民生活に萎縮が広がる。香港島に住む民主派支持の20代の男性飲食店主は本紙のネット取材に、政府や親中派からの圧力は強まっているが「それで黙ってしまったら政府の思い通り」として、さまざまな方法で抵抗を試みている状況を語った。
 国安法が施行される直前の6月30日、男性の店に警察官が訪れた。酒を販売するライセンスを確認する目的だといったが、携帯番号と身分証を記録して帰っていった。当時、デモ隊応援グッズなどを店内に置いていたため「監視に来たのだと思う」と振り返る。
 国安法の施行後、香港政府は「光復香港(香港を取り戻せ)」などのスローガンですら国安法違反になるとの判断を打ち出し、言葉や言論のタブーを社会に充満させようとしてきた。
 香港の至るところに権力に抵抗する意志をメッセージに書き込んだ壁「レノン・ウォール」があるが、知人の店に来た警察官が「店内のレノン・ウォールのメッセージをゴミにするか、逮捕されるか、どちらを選ぶか」と脅してきたという。
 男性の店には今も連日のように親中派からとみられる嫌がらせの電話がかかってくる。休日に書店に行きたくても民主派関連の本が撤去されるなど息苦しさが強まっている。「僕たちは何も悪いことをしていない。なぜこんな目に遭わなければいけないのか。平和な香港が戻ってほしい」と苦しい胸の内を明かす。
 国安法によって自由に意見を言いにくくなったものの、若者は別の方法で抵抗する方法を模索している。
 街中には、レノン・ウォールの代わりに、数字を書いた付箋を壁に貼り付けた飲食店も出てきた。この数字は、デモのテーマソング「香港に栄光あれ」のメロディーと広東語の発音の声調が同じで、数字を読むと曲が想起できる。男性は「香港人は弾圧されても頑張っている。その現実を外国の人たちにも知ってもらいたい」と話した。

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