聖地メッカ、巡礼者を大幅に制限 儀式中は1.5メートル間隔を徹底 

2020年7月30日 18時57分

29日、サウジアラビア・メッカで、互いに距離を保ちながらカーバ神殿の周りを回る巡礼者=AP・共同

 【カイロ=蜘手美鶴】イスラム教の聖地メッカとその周辺を訪れる大巡礼(ハッジ)が29日、サウジアラビアで始まった。新型コロナウイルスの影響で受け入れ規模を大幅に縮小。80億ドル(約8400億円)ともいわれるハッジ期間の収入も見込めなくなり、原油安で低迷するサウジ経済にも影響を与えそうだ。
 ハッジには例年約250万人が訪れるが、今年は国内の1万人に限定、外国からの巡礼者受け入れを初めて中止した。儀式中は巡礼者同士が1.5メートルの間隔を空けるよう徹底し、参加者にはハッジ前後で2週間の自主隔離を求めた。
 「聖地の守護者」を称するサウジにとって、ハッジ中の感染拡大は国家の威信に関わる。巡礼省報道官は取材に「ハッジは順調だ。新型コロナに打ち勝っている」と強調する。

◆サウジ経済への影響も懸念

 一方、巡礼者の大幅減で懸念されるのがサウジ経済への影響だ。ハッジ期間は外貨獲得のチャンスで、例年、外国からの巡礼者が宿泊や飲食、周辺観光などで外貨を落としていく。
 ムハンマド皇太子が進める社会経済改革「ビジョン2030」でも、ハッジの巡礼者を年600万人まで増やす目標を掲げるほど、巡礼や観光は石油以外の収入の柱に据えられている。原油安で石油収入が減っている現在、今回の巡礼者制限が国家歳入に与える影響は少なくないとみられる。
 参加制限を巡っては、国内から不満も聞かれる。ハッジはイスラム教徒が一生に1度は行うべきだとされる義務の1つで、聖職者の男性は取材に「感染者の増加は政府が飲食店やナイトクラブを再開したため。そのせいでハッジが制限された」と政府を批判する。
 29日現在、サウジ国内の感染者は27万2590人、死者は2816人。1日の新規感染は約2000人となっている。

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