天井からかび、浸水の痕跡2.5m超 台風19号被害の川崎市民ミュージアム内部

2020年7月31日 05時50分

昨年の台風19号で浸水した地下の第2収蔵庫。職員の立つ横の棚より水位は上がった=30日、川崎市中原区で


 川崎市は30日、昨年10月の台風19号で地下収蔵庫が浸水した市民ミュージアム内部を、報道機関に初めて公開した。収蔵庫の壁には天井付近まで水が入った跡などが残り、中にあった収蔵品約22万9000点のほぼすべてが被害を受けたことがはっきりした。市は収蔵品の修復を進めているが、被災から約9カ月がたった今も被害の全容が分かっておらず、修復完了のめどもたっていない。(大平樹)

◆地下の収蔵庫や絵画の修復作業

 公開されたのは九つある地下の収蔵庫や、休館中の館内で進めている絵画などの修復作業、館の近くで古文書を冷凍保管しているコンテナなど。市は被災した収蔵品について、著作権を理由に作品が特定できるような写真撮影を認めなかった。
 空になった収蔵庫では、高さ約2・5メートルのところに浸水した跡が残っていた。庫内はかびが繁殖し、天井からかびが垂れ下がっているところもあった。
 市によると、浸水被害は昨年10月12日夜に発生。台風で近くの多摩川が増水したことで、逆流した雨水が周辺より地盤が低いミュージアムの地下に流れ込んだ。市は台風接近を受けて休館していたものの、収蔵品を上層階に移すことはしなかった。市は多摩川の増水が記録的だったことを理由に「必要な対策は取られていた」と結論づけている。

◆「個人情報保護」と公開拒否続ける

 被災作品は個人情報保護を理由に公表を拒み続け、今年3月にようやく、大正・昭和期に活躍した歴史画の大家・安田靫彦ゆきひこ(1884~1978年)の日本画「草薙の剣」など貴重な絵画や、映像フィルムが被害を受けたことを明らかにした。
 報道陣への公開に先立って現場視察した木庭理香子市議は「市の対応は遅い。今まで公開しなかったのは、ひどい状況を見せたくなかったのだろう」と憤った一方で「修復作業に当たる人たちの環境も過酷なので、市に改善を求めていく」と話した。

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