被災後初公開の市民ミュージアム カビびっしり 被害深刻

2020年7月31日 07時25分

解凍した古文書。ぬれた紙の束を1枚ずつはがしていく職員ら

 昨年十月の台風19号で被災し、三十日に初めて内部が公開された川崎市民ミュージアム(中原区)。浸水した地下収蔵庫はカビがびっしりと繁殖しており、被害の深刻さが明らかになった。収蔵品だった絵画の絵の具のかけらや漫画本の切れ端も散乱し、急いで搬出した様子がうかがえた。館や支援団体の職員が地道に修復を続けているが、完了のめどすら見通せない状況だ。 (大平樹)
 市によると、九つある地下の収蔵庫はすべて浸水。湿度管理のためにしっくいでつくった壁は、繁殖したカビで黒ずんでいた。床板も水で反り返ったため、はがしてベニヤ板を張り直したが、そのベニヤ板もカビで黒く変色した。地下に通じるエレベーター内もカビのにおいが強かった。
 水圧の影響なのか、金属製の分厚い扉がひしゃげた収蔵庫もあった。麻生区在住の日本画家大矢紀さん(84)の寄贈作品を保管していた収蔵庫は、天井からカビがつららのように垂れ下がっていた。一度は取ったが再び繁殖したという。
 収蔵庫内の壁や机、床には、漫画の切れ端が張り付いていたところもあった。絵画を保管していた収蔵庫の床には、細かい茶色いかけらが散乱していた。市によると、絵からはがれた絵の具のかけらとみられる。館が収集に力を入れていた漫画本も、水にぬれて変色した状態で段ボールに詰められていた。
 浸水しなかった上階では、搬出した収蔵品の修復作業が続いていた。カビの繁殖を抑えるために冷凍保管した古文書は、少しずつ解凍。職員たちがぬれた紙の束を一枚ずつ丁寧にはがして乾かしていた。
 被災から九カ月以上たっての初公開について、市の担当者は「収蔵品の搬出を終えてからの公開を考えていた。六月に搬出を終えてから早く見せられたと考えている」と説明した。

カビの繁殖を抑えるための燻蒸(くんじょう)スペースには絵の具が落ちた絵画も何点かあった=いずれも中原区で


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