子どもの学び、保障したい オンライン授業、全教科・全学年で 私立カリタス小の試み

2020年7月31日 07時41分

ホワイトボードを見せながら、画面の向こうの児童に話し掛ける佐川勝史教諭(左)=いずれも川崎市多摩区で

 新型コロナウイルスの感染拡大防止で、オンライン授業に取り組む動きが小学校にも広がっている。川崎市多摩区の私立カリタス小学校も、大型連休明けから全教科をオンライン授業に切り替えた。コロナ禍前はオンライン化が特別進んではいなかったが、一カ月超で全面導入を実現した。授業を見学し、その理由を探ってみた。 (安藤美由紀)
 七月八日に行われた六年生の理科の授業はビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って行われた。佐川勝史教諭(39)が見つめる大型スクリーンには、児童の顔が出席番号や名前とともに映し出される。一方、佐川さんの後ろには、授業のテーマや段取りを書いたホワイトボード。児童はこれをタブレット端末などの画面越しに見ながら授業に臨む。
 授業では、災害をテーマとしたグループ発表の打ち合わせ。学習支援アプリ「ロイロノート」を活用し、児童一人一人が事前に調べた内容をグループ内で共有。ビデオ会議で話し合いながら発表内容をよりよいものにしたり、発表者を決めたりした。
 進みの速いグループはアプリの資料共有の機能を活用するなどして学習を進めていく。佐川さんは「子どもたちはすぐに慣れて使いこなす」と、児童のオンラインへの順応性の高さを実感している。

カメラ越しにボタン付けを実演しながら解説する関谷ゆり教諭

 同じ時間、別の教室では家庭科の関谷ゆり教諭(62)が五年生にボタン付けを教えていた。関谷さんはタブレット端末で実演する自分の手元を動画撮影。児童は映像を見ながら音声で解説を聞く。Zoomによる双方向授業だが、児童は集中しているのか静かだ。関谷さんは「手元がよく見えるオンラインのほうが裁縫ははかどる」と話す。
 同小がオンライン授業の検討を始めたのは新年度早々の四月初旬。緊急事態宣言の発令直前だった。休校ではなく「子どもの学びを止めない、学びを保障する」(内藤貞子校長)の思いからで、二週間後には「ロイロノート」で課題の配布と添削、教師がコメントを書いて伝えるタイプの授業を開始。タブレットのない家庭には学校の備品を貸した。五月の大型連休明けには、Zoomによる双方向のオンライン授業を本格的に始め、今は全教科・全学年を対象に実施している。
 オンライン授業で気付いたことも。教科書の一斉音読も児童個々の音声が送られてくるので、一人一人の様子がよく分かる。対面授業では遠慮がちだった児童が発言する機会も増えた。「子どもとのやりとりこそ教育」(佐川さん)と、動画配信による一方通行の授業は採用しなかった。
 全面オンライン授業を導入できた背景には、新しいことに挑戦する学校の伝統や、教員側の「教わる」姿勢などもあった。関谷さんも端末操作に不慣れだったが、自分の子どもに教わりながら、短い動画を制作できるまでになった。
 課題もある。政府のGIGAスクール構想では二〇二〇年度中に児童・生徒一人につき一台端末を配布する。公立校は国と自治体で折半するが、私立校は自治体分を学校が負担する。児童数六百四十五人のカリタス小の場合、導入時だけでも三千万円超の負担となるため、国への申請をためらっている状態という。
 オンライン授業を活用してきた同校だが、八月末にも始まる二学期からは通常登校を再開する予定。「学校に集まって協働で行う授業にはかなわない」ためだが、オンラインのメリットも生かしていく方針だ。

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