地域芸能の灯、絶やすな コロナ禍の夏 祭り、盆踊り軒並み中止に知恵絞る

2020年7月31日 08時00分

映像収録のスタジオで「江の島ヨット音頭」を実演する濱口啓子さん(左)ら=東京都文京区で

 新型コロナウイルスの影響で、各地の祭りや盆踊りなどは軒並み中止や規模の縮小を余儀なくされている。地域芸能の大ピンチに、担い手たちは戸惑いながらも「継承されてきた芸能を途絶えさせてはいけない」と、可能な範囲で活動を続ける道を模索している。そうした活動を知恵と工夫でサポートしようとする動きも出ている。 (藤浪繁雄)
 六月中旬、東京都内のスタジオ。神奈川県で五十年以上前から伝わる「江の島ヨット音頭」の踊り方の映像収録があった。地元からやってきた濱口啓子さんらがヨットの帆や波を手ぶりで表現していた。音頭は一九六四年東京五輪の際、セーリング会場だった江の島を盛り上げるために生まれた。今夏開催予定だった二度目の東京大会は延期となったが、濱口さんは「今回はいい機会。全国に音頭が広がったら」と来年を見据えて前向きにとらえる。
 収録を主催したのは、六十年以上の歴史を持つ日本フォークダンス連盟(東京)。連盟は取り扱う一種目として「日本民踊」にも尽力、各地に伝わる踊りの保存や継承に努めている。

静岡県熱海市で日本フォークダンス連盟が主催した過去の講習会。今年は中止となった

 例年、全国の支部から募った民謡の踊りから八曲を課題曲に選び、六月に静岡県熱海市で会員の指導者ら約八百五十人が参加して講習会を開催、踊り方の映像も収録してきた。指導者たちは講習会やその時のDVDなどで習得した踊りをそれぞれの地域で伝え、祭りやイベントなどで披露してきた。
 今年は熱海の講習会が中止、課題曲の映像に重きを置く。今年は「正調日光和楽(わらく)踊り」(栃木)、「尾鷲節」(三重)、「逢束(おおつか)盆踊り」(鳥取)などが選ばれた。東京での収録に難色を示す担い手のために、連盟側はその地域に出向いて収録。九月九日に、今年の八作品を収めたDVDとCDを「ふる里の民踊」と題して出す。
 愛好家は例年と異なる夏をどう考えるのか。埼玉県川島町在住の指導者で、四十年以上親しんでいる福島道子さんは「伝承していかないと途絶えてしまうという不安があるが、講習会や盆踊りなど行事が中止となり、練習に身が入らない」と複雑な胸中を語る。連盟の川名君江さんは「高齢の会員も多く、今年の方式が新しいスタンダードになるかもしれない。状況に合わせて可能な形で続けていきたい」と話す。

オマツリジャパンが5月に開いた「エア阿波踊り」。8月にも「オンライン夏祭り」を予定=同社提供

 夏祭りや盆踊りの開催が難しい今夏にあって、八月十五日に「オンライン夏祭り」を企画する会社がある。祭り運営のコンサルティングやサポートで、各地の祭りを成功に導いてきた「オマツリジャパン」(東京)。担当者は「新しい祭りの様式を模索し、灯を消さない取り組みをしたい」と話す。
 同社は全国の祭りを訪ね歩き、参加してきた加藤優子社長らが二〇一四年に創業。保存会や自治体と企業の橋渡し役を務め、担い手不足や協賛金などの課題を解決してきた。観光面での需要も掘り起こすなど発展させ、実績を積み上げてきた。
 しかし、コロナ禍で来年以降の祭りの継続に悩む自治体や団体も相次いでいる。同社はそんな現状に「オンライン無料相談会」を緊急開催し、不安の解消に道筋を示している。例えば、埼玉県内の大きな祭りの主催者から「来年の協賛金集めが難しくなるのでは」との質問が寄せられると、担当者は企業が新商品のマーケティング調査を兼ねて出店、成功した実例などを示したという。
 「オンライン夏祭り」について、担当者は「秋以降(の開催を)前向きに考えている団体の助けになれば」と話す。五月に開催した「エア阿波踊り」が盛り上がり、「新しいスタイルを創出したい」と言う。沖縄エイサー、大阪・泉州音頭らの団体が参加し、踊り教室やワークショップなどを予定している。観覧者や参加者を募っていて、詳細は同社のWEBサイト(https://omatsurijapan.com/)へ。

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