入院先→自宅→勤務先→温泉 コロナ患者「脱出劇」 鍵こじ開け抜け出し、12時間後、警察が発見

2020年8月1日 06時00分
 新型コロナウイルスに感染し埼玉県羽生市内の病院に入院していた40代男性が、30日夜に病院を無断で抜け出し、一時行方不明になっていたことが分かった。県が31日、発表した。男性は同日午前10時ごろ、川越市内の温泉施設で警察官に保護された。外出中の濃厚接触者は確認されていないが、県は立ち回り先を男性と同じ時間帯に利用した人に、保健所へ相談するよう呼び掛けている。(飯田樹与、寺本康弘、中里宏、近藤統義)
 男性は県の聞き取りに、「仕事の進み具合が気になった。川越には仕事の関係先があるので向かった」と話しているという。
 県によると、男性は春日部市在住で、せきや発熱などの症状で新型コロナウイルス感染症の軽症と診断され、16日に羽生総合病院に入院。無断外出時は、重い肺炎とせきで中等症に当たる症状があった。
 県や病院関係者らによると、男性は30日午後10時ごろ、私服に着替え、コロナ病床と他のエリアを仕切る扉の鍵をこじ開け、ナースステーションの死角になっていた職員専用通路用のドアから抜け出した。通路の出口は施錠されていたが、男性を見掛けた看護師が、「患者の家族」と名乗る男性の話を信じて出口を開け、男性はエレベーターで階下へ降りた。
 不審に思った看護師の連絡で、病院側は男性が病棟を出たことに気付き、正面玄関付近で姿を確認。しかし警備員らは感染防護装備をしていないため近付けず、男性は正面玄関からタクシーに乗り込んだ。病院は男性の家族や県春日部保健所、羽生署へ連絡した。
 男性は自宅に戻った後、車で行方不明になった。家族は31日未明、行方不明届を春日部署に提出。同日午前3時すぎ、県は男性と電話がつながり、病院へ戻るよう説得した。男性はこのころ、三郷市内の勤務先にいたという。
 男性は31日午前9時ごろ、川越市内の温泉施設「小江戸はつかり温泉川越店」に入店。警察が車を発見し、1時間後、車に戻ったところを保護された。
 男性は無断外出する前日までにも外出を何度も試み、「退院させろ」と主張したが、医師らから病状を説明され、あきらめたような様子だったという。
 温泉施設の支配人によると、保健所からは、男性が長く入院しているため感染拡大の心配はないと説明されたという。しかし「駐車場で男性が説得されているのを見たお客さんもいる」と風評被害を心配した。
 31日に記者会見した県保健医療部の唐橋竜一副部長は「患者が一時、行方不明の状態になったことは重大なことと受け止めている」と述べた。男性には肺炎症状が見られるため、感染リスクはゼロではないという。

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