「戦後最長」に固執、政府の景気判断に疑問の声 専門家「恣意的で政策誤る恐れ」

2020年8月1日 06時00分
 内閣府の有識者会議が30日に景気の回復局面が2018年10月に終了していたと認定したことについて、経済の専門家から、その後も「回復」と言い続けていた政府の姿勢に疑問の声が上がっている。政府の公式の景気判断は政府のさじ加減で決められ、こうした仕組みが経済政策判断の誤りにつながりかねないとの指摘がある。(大島宏一郎)
 内閣府の有識者会議は、景気のピークを指す「山」を18年10月に認定。翌11月からは後退局面に入ったとしている。しかし、政府は20年2月まで、景気の公式見解を示す「月例経済報告」で「緩やかに回復」との表現を使いつづけてきた。ズレの背景には月例経済報告での景気判断には明確な基準がなく、政府の裁量が働きやすい事情がある。
 有識者会議の景気認定の有力な判断材料となっているのは各種データから機械的に導く「景気動向指数」だ。同指数は18年の秋から弱い数字を示していた。
 一方、指数より多くのデータを基にまとめる「月例」は、表現を決める際の明確な基準がないため、政府の裁量で決められる余地が大きい。実際は後退局面に入っていた昨年1月、茂木敏充経済再生担当相(当時)は「政権復帰したときにはじまった景気回復期間は戦後最長になったとみられる」と胸を張った。
 政府が「回復」の表現を使い続けていたことについて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「政権の成果を強調したかったと思われても仕方ない」と指摘する。
 政府は「景気は回復している」との判断の下、昨年10月には消費税増税に踏み切った。第一生命経済研究所の永浜利広氏は、実際には後退局面に行われたこの増税策が景気悪化に拍車をかけた可能性が大きいと分析。政府による恣意的な景気判断は「政策判断の誤りを招く恐れがある」と警鐘を鳴らしている。

関連キーワード

PR情報