横浜・料亭「隣花苑」 あす閉店「三渓の志守る」 老朽化で保全へ

2020年8月1日 07時13分

「三渓の志を残したい」と話す西郷さん=横浜市中区で

 横浜市中区の日本庭園「三渓園」に隣接する料亭「隣花苑」が、二日の営業を最後に閉店する。横浜を代表する生糸商・原三渓(一八六八〜一九三九年)が長女のため移築した約七百年前の古民家で、三渓直伝のもてなし料理を提供してきたが、建物の老朽化が進んだため、修復・保全に取り組むという。横浜の歴史を刻む店との別れを多くのファンが惜しんでいる。 (中山洋子)
 原三渓は、関東大震災で荒廃した横浜の復興に私財を投じて尽力した実業家で、芸術家のパトロンや食通としても知られる。自らもさまざまな料理を考案、名物の三渓そばもその一つ。
 隣花苑は、長女の嫁ぎ先の西郷家が自宅を開放し、一九六三年に開業した。名前は三渓が好んだ漢詩「隣花不妨賞」に由来する。「隣の花をめでるのを妨げない」という意味で、美しいものは独り占めしない三渓のもてなしの心を込めた。
 多くの文化人にも愛されてきたが、昨年の台風で雨漏りが激しくなるなど、建物の傷みが深刻化。三渓のひ孫で二代目女将(おかみ)の西郷槙子さん(74)は「日本の伝統的な美を後世に伝えようとした三渓の志を守るためには、今、修復するしかない」と閉店を決断した。修復日程などの検討もこれからだが、しつらえも含めた空間ごとの保全に尽くすという。 

中華風のあんをかけた名物の三渓そば


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