原爆への思いコロナ禍でも 朗読劇「父と暮せば」を6日、9日にネットで無料配信

2020年8月1日 14時00分
 原爆投下後の広島を舞台に、被爆した父の亡霊と娘を描いた故井上ひさしさん作の戯曲「父とくらせば」の朗読劇を、毎年8月6日と9日に続けている俳優らがいる。今年は新型コロナウイルス感染拡大を受け公演を断念するつもりだった。だが、被爆七十五年の節目に「何とか原爆忌に発信できないか」と、無観客上演をインターネットで無料配信することにした。「コロナ禍でも、語り伝えていければ」と願っている。(村上一樹)

◆75年の節目

朗読劇「父と暮せば」を上演する俳優の岡崎弥保さん(右)と、内山森彦さん(2018年上演時、岡崎さん提供)=東京都港区で

 「父と暮せば」は、原爆投下から3年後、死亡したはずの父が娘の前に幻となって現れる物語。2004年には、宮沢りえさん主演で映画化もされた。朗読劇は、父が広島県出身の俳優岡崎弥保みほさん=横浜市=ら、俳優やピアニストたち5人でつくるユニット「桂月けいげつ企画」が、14年から毎年原爆忌に上演している。
 朗読劇を始めたのは、岡崎さんが東日本大震災から数年後に福島県浪江町や南相馬市を訪れたことがきっかけ。発災直後の状態のまま野ざらしとなった建物や車を前に「核と人間は共存できない」との思いを強くした。岡崎さんの父の同級生に被爆者が多かったこともあり、原発・原爆をモチーフとした作品の公演を行うようになった。

◆語り部の活動に刺激受け

 原爆忌の公演は、東京で毎年続け、昨夏は広島での公演も実現できた。今年も当然のように開催を予定していた。ところが、新型コロナは演劇界にも深刻な影響を与え、観客を入れた舞台での公演が例年通りできる環境ではなくなった。
 あきらめかけた時、被爆75年の節目に被爆者らが語り部の活動をネット動画配信などで続けているのを見てハッとした。「自分たちもコロナ禍に負けず、できることをしなければ」との思いが湧き立ち、無観客上演をネット配信する形で開催にこぎ着けた。
 岡崎さんは「コロナで外出も難しく、慰霊式典やイベントが中止・縮小となる中、ネット配信で作品をより多くの人に見てもらうことで、あの日に思いを寄せる機会となってほしい」と話す。
 ネット配信は、8月6日午後8時、9日の午後2時の計2回。誰でも無料で視聴可能。観覧後には投げ銭(カンパ)もできる。配信サイトは「桂月企画」で検索。問い合わせは、岡崎さん=ohimikazako@gmail.com

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