ソウル不動産の価格5割上昇、政権支持率は低下…側近は複数所有

2020年8月2日 06時00分

1日、ソウルの国会近くで、文在寅政権の不動産高騰対策に抗議するデモの参加者=相坂穣撮影

 韓国のソウルで不動産の価格高騰が続いている。文在寅ムンジェイン政権の対策も効果はなく、マンション価格はこの3年間で5割も上昇した。一方で、大統領府高官や議員が複数の不動産を所有していることが判明。国民の批判が高まり、文大統領の支持率も低下している。 (ソウル・中村彰宏、相坂穣)

◆国会近くで3000人デモ「政治家だけ、不公平」

 1日、国会近くで抗議デモが開かれ、梅雨空にもかかわらず、約3000人が参加した。ソウル市内の女性会社員(41)は文氏の支持者だったが、側近らが何戸もアパートを持っていることを知って失望し、小学生の娘と初めてデモに加わった。「子育て世代の多くが家を持てずに困っているのに、政治家だけが許されるのは不公平だ」と憤った。

◆政権発足後52%アップ

 市民団体「経済正義実践市民連合」によると、ソウルのマンション価格は、文政権発足後に52%上昇。特に人気の高い江南カンナム地区では、25坪のマンションの平均価格は8億4000万ウォン(約7600万円)から12億9000万ウォンに上がった。
 背景には過去最低水準の金利がある。ソウルの不動産業者は「銀行に預けてもお金は増えず、投資目的で不動産を買う人が増えて価格が上昇した」と説明。首都圏に人口の半分が集中する一極集中により、マンションの供給が追いつかないことも一因になっている。
 不動産に課す税金の引き上げなど、政府はこれまでに20以上の価格抑制策を打ち出してきたが効果は限定的。税の負担増よりも不動産価格の上昇幅が大きく、所有者は不動産を手放したがらないからだ。

◆ソウル物件残して地元を売却

 政府は先月、複数の不動産を所有する大統領府高官に対し、一つを残して売却するように勧告した。対策に取り組む姿勢をアピールしようとしたが、勧告を出した秘書室長自身が、ソウルと地元の地方のマンションのうち、ソウルを残したことに非難が集中。慌ててソウルの物件も処分すると表明した。また、国会議員88人が複数の不動産を所有する実態も判明した。

◆支持率は60%超→44%に

 7月末の世論調査では、文氏の支持率は44%。4月の総選挙直後は60%を超えていたが、曺国チョグク前法相の不正疑惑が出た昨年秋以来の水準まで下がった。不支持理由は「不動産政策」が最も多く、別の調査でも64%が不動産政策について「間違っている」と回答した。
 与党「共に民主党」は、国会や官庁をソウルから移転させる案を表明し、支持のつなぎ留めに躍起だが、即効性は低い。不動産高騰が続けば、文氏はさらに厳しい政権運営を迫られる。

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