<ひと物語 コロナ編>地場野菜の魅力発信 那珂市地域おこし協力隊員・入江紫織(いりえ・しおり)さん(33)

2020年8月2日 07時29分

「野菜ボックスで農業を盛り上げたい」と話す入江紫織さん=那珂市で

 新型コロナウイルスの第一波が県内で猛威を振るっていた四月、那珂市で初の「地域おこし協力隊員」に就任した。農業活性化を任されたものの、多くの農家がコロナ禍で販路を失うなど課題は山積。「三密」を避けたドライブスルー方式での野菜販売会やSNSに活路を見いだす。
 京都市の実家は九条ネギの卸売りをしており、子どもの頃から新鮮な野菜が身近にあった。日本農業新聞に就職し、約十年間、記者として全国各地で農家の技術を取材したり、出向した全国農業協同組合中央会(JA全中)で農産物のPRをしたりした。
 農家の思いを読者や消費者に伝えることに魅力を感じていたが、「もっと地域に入り込んで、農作物のPRや流通の手伝いをしたい」と転身を決意。生産者ら約四十人でつくる「フェルミエ那珂」の販路開拓に力を入れていた那珂市の協力隊員に応募した。
 活動を始めるやいなや、フェルミエ那珂がほぼ毎月開催してきた対面での野菜販売会はコロナ禍で中止に。学校給食の停止や飲食店の休業などで納品できなくなった野菜を抱える生産者の表情は暗かった。
 そうした苦境の中、市周辺にドライブスルーの飲食店が多いことに着想を得て、「野菜も」と企画。フェルミエ那珂も喜んで協力してくれた。
 四月二十三日、会場の市中央公民館駐車場には、トマトやナス、タマネギなど八種類の野菜とパスタをあらかじめ詰めた「野菜ボックス」三十箱を用意。一箱千五百円の代金を車の窓越しに受け取り、食材を詰め込む。開始の午前十時の一時間半前から客の車が会場に並び、開始二十分前には売り切れた。「思っていた以上に来てくれた」。生産者も「こういう方法だと、コロナの中でもできるね」と自信を深めた。
 五〜七月も月一回、ドライブスルー方式で販売会を開催。外食産業の売り上げ低迷で価格が下落していた県銘柄牛「常陸牛」を使った料理なども販売した。
 販売会の様子は、写真共有アプリ「インスタグラム」で発信。その結果、対面式では六十代中心だった顧客の年代層が三十、四十代に拡大し、県外の客も呼び込んだ。「これまで那珂市の野菜を購入したことがない人にも手に取ってもらえた」
 インスタグラムには、自慢の野菜を手に笑顔を見せる生産者の写真が並ぶ。協力隊員の任期は一年で最長三年の活動が可能だ。「那珂市にはいろんな野菜を育てている農家がいる。東京などにも販路を広げたい」(松村真一郎)
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 ドライブスルー方式での野菜販売は八、九月は実施せず、十月以降は未定。問い合わせは、入江さん=電090(9698)0311=へ。

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