カシワの魅力ゆる〜く発信 「超普通の街」をアニメの舞台に

2020年8月3日 06時42分

アニメの登場人物。後列左から鎌谷しの、安浦千代、橋舟一花、舎川あこ、田野ながれ、前列左からマヌー、テガちゃん=できる街プロジェクト提供

 千葉県北西部に位置するベッドタウン柏市をPRするために、市民団体が制作したご当地アニメがじわりと人気を集めている。動画配信から始まったアニメは、七月から第三シリーズを迎え、地上波に進出を果たした。「普通」な人たちによる地元愛あふれる内容で、カシワの魅力をゆるく発信している。
 現在、地元テレビ局のチバテレビで放送中のアニメ「超普通都市カシワ伝説R」は、柏市を舞台に女子中学生たちの日常が描かれている。
 シリーズを通じての主人公は「舎川(しかわ)あこ」。名字は「かしわ」を並べ替えた。友人の「田野ながれ」は野田市と流山市、「橋舟一花」は船橋市と市川市、「安浦千代」は浦安市と八千代市といった具合に、他の登場人物の名前も千葉県内の市にちなんでいる。一話五分程度で毎回、彼女たちが、手賀沼にちなんだ不思議な生き物「テガちゃん」「マヌー」「テッシー」らと市内の名所、イベントを舞台に、ゆる〜いドラマを繰り広げる。

主題歌を歌う成海ひいなさん(左)と声優の冷水優果さん。中央は、制作した市民団体代表の楠本慶彦さん=千葉県柏市で

 制作した市民団体「できる街プロジェクト」は、自分たちの夢をかなえ、楽しみながら、柏を盛り上げていこうと、二〇一五年に結成された。
 「百人ほどのメンバーのほとんどは『大好きな柏のために活動したい』と思っている。アニメを作るなど、夢をかなえるのはすごく大変なことと思われがちだけど、普通の人たちが力を合わせれば実現できる」。代表の楠本慶彦さん(32)は団体名や作品タイトルに込めた思いをこう語った。
 楠本さんは熊本市出身。大学卒業後、放射線技師として、日立製作所に入社し、最初の職場が柏市。趣味の演劇を通じて知り合った脚本家、漫画家、音楽家らとともに「やりたいことを具現化し、柏の街おこしにつなげよう」と団体を発足させた。
 「関心、共感を得られやすい」と考え、ご当地アニメの制作を活動の中心に据えた。第一作の「超普通都市カシワ伝説」を、一六年に動画サイトのユーチューブで公開すると、作品の舞台をファンが訪れる「聖地巡礼」が相次ぎ、一七年以降は、市関連の補助金も受けられるように。第一作と一九年完成の第二作「超普通都市カシワ伝説Z」は、今も柏駅前などの街頭ビジョンで見ることができる。
 声優、主題歌歌手の多くは、公開オーディションで募ってきた。最新作「〜R」から登場した、鎌ケ谷市をもじった新キャラ「鎌谷しの」を演じるのは、声優の冷水(ひやみず)優果さん(28)。「専門家ではない人たちが手掛けているのに、シリーズ化され、注目していた。私自身、旅行が好きで、出演することで、あまり知らなかった柏の魅力を味わえるという副産物も。地域の人による手作り感と地元密着がたまらない」と作品の魅力を語る。

舞台は柏市内。背景は手賀沼だ=できる街プロジェクト提供

 Rの主題歌「おかしーわ!」を歌う歌手の成海ひいなさん(25)は茨城県つくば市出身。柏の活性化に参加できることに充実感を覚えている。「茨城県民にとって、柏は“東京デビュー”の前に都会慣れするための場所でもある。私も初めて県外に遊びに行ったのは、柏のららぽーとでした。とても親近感があるんです」。柏は東京と茨城との「懸け橋」でもある。
 楠本さんは「アニメ作りに限らず、いろいろな『やりたい』活動を『できる』ようにしていく」と張り切る。当面は、千葉県全域に舞台を広げた次期シリーズの公開が目標という。
 超普通都市カシワ伝説Rの放送時間は毎週月曜午後九時五十五分〜十時(第三月曜日除く)。ユーチューブでも視聴できる。

◆柏市

 7月1日現在の人口は約43万人で県内5位。面積は114.74平方キロメートル。JR常磐線、つくばエクスプレス、東武野田線が通り、東京に通勤する人が多い。国道16号と常磐自動車道、国道6号が交差する陸の要衝でもある。
文・堀場達/写真・芹沢純生
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