<国吉好弘の埼たまNOW>Jリーグ再開後のレッズ ベテラン勢起用で連敗脱出

2020年8月3日 07時25分

横浜FC−浦和 後半、競り合う浦和・槙野選手(左)と横浜FC・斉藤選手=ニッパツで

 再開されたJリーグで、浦和レッズは昨季のチャンピオン横浜F・マリノスと0−0で引き分けた後、ベガルタ仙台を2−1、鹿島アントラーズを1−0と下して連勝し、2位に浮上した。しかし、第5節でFC東京に0−2と初黒星を喫すると、第6節でも柏レイソルに0−4と連敗。迎えた26日の第7節ではメンバーを大幅に入れ替え、横浜FCを2−0と下して3試合ぶりの勝利を挙げた。
 この試合で大きく変えたのは、センターバック(CB)のポジション。これまで岩波拓也を軸に、トーマス・デンかマウリシオとのコンビで戦ってきたが、33歳の槙野智章と30歳の鈴木大輔のベテランコンビを起用した。鈴木は中断前の開幕戦以来、槙野は今季初のスタメン出場。また中盤で柏木陽介が4試合ぶりのスタメン出場だった。興梠慎三と青木拓矢も柏戦では出場していない。
 連敗の要因は先制点を奪われたことにある。今季4−4−2のコンパクトな布陣で、奪ったボールを素早く攻撃につなげるサッカーを展開するレッズだが、相手に引かれて守られると攻め手を失う傾向がある。
 完敗した柏戦でも立ち上がり30分ほどはレッズのペースで進み、数回のチャンスがあったが、ものにできず、前半32分にミスから失点。守りを固めた相手を攻めあぐね、カウンターを受けて失点を重ねた。前半の早い時間で先制に成功していれば、展開は変わっていただろう。FC東京戦でも前半に先制されて追いつくことができなかった。
 横浜FC戦では互角の展開で進んだ前半、相手の決定的なチャンスをしのいだ直後、柏木からのパスを受けた関根貴大が相手DFの背後へスルーパスを送り、走り込んだレオナルドが左足を振り抜いて決めた。大槻毅監督が「先制点を取れたのは大きかった。その重要さを改めて感じた」と話したように、先手を取って主導権を握ると、相手の攻撃をしのいで終了間際にカウンターから追加点も奪って快勝した。連敗したゲームの逆をいったわけだ。
 相手に先手を取られない守備ができたのは、やはりCB交代の効果と言えた。試合後に槙野が「前の2試合でチームに元気がない、声が出ていないと感じたので、90分間声を出し続けようと(ベテラン勢と)話した」と語ったようにベテラン勢が指示し、叱咤(しった)し続けたことで、チーム全体の集中力が途切れなかった。
 先制点を奪った攻めも良かった。これまで攻撃が両サイド、特に左から山中亮輔のクロスと汰木康也(ゆるきこうや)のドリブルで崩す形に偏りがちで、中央からの攻撃は少なかった。相手も研究してサイドをふさいできたが、このゴールでは両サイドハーフの柏木と関根が中に入り、パスを受け渡しした中央突破から生まれた。これは柏木を起用した狙いの一つだったはずだ。ベテラン勢の起用がことごとく当たって勝利を引き寄せた。
 とはいえ、この日の布陣がベストというよりは「これまでやってきたことをいかに徹底するか」(大槻監督)をベテラン勢が示したということだろう。これまで中盤のセンターと両サイド、前線の2トップと、複数の選手を対戦相手やコンディションによってローテーションしてきたが、CBはさらにベテランコンビに頼ることもできる。元々それを可能にする選手層の厚さがレッズの強みの一つで、大槻監督がうまく使い回した結果と言えよう。
 ベテランの存在感を引き出し、連敗を断ち切ったことでチームは一段階成長したように映る。選手起用に多くのオプションがあることが示され、監督の采配がさらに重要度を増してくる。 =敬称略
(サッカージャーナリスト)

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