日本に核兵器禁止条約参加へ議論呼びかけ 中満泉・国連事務次長 本紙インタビュー

2020年8月4日 05時50分

オンライン取材で核軍縮について語る国連の中満泉事務次長

◆「ドアを完全に閉めないで」

 国連で軍縮を担当する中満泉事務次長は、本紙のインタビューで、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中で「世界はいかに脆弱ぜいじゃくかという教訓を得た。75年前の教訓とともに、世界を安全にするために核軍縮を進める必要がある」と訴えた。核兵器禁止条約に参加しない日本に対しては「ドアを完全に閉めないでほしい」と議論への参加を呼びかけた。(柚木まり)
 中満氏は、コロナについて「目に見えないウイルスによって、想像すらできなかった状況が瞬く間に広がった」として、「軍縮は国家間の不信感や緊張感をほぐし、安全保障にも役立つ。コロナでその役割を再確認し、機運と捉えて進める必要がある」と強調した。
 核禁条約は2017年に国連で採択され、核兵器の開発や保有、使用を全面禁止する内容。日本は反対の姿勢を取っている。中満氏は「核兵器をなくすという目的は日本も共有しているはずだ」と指摘。「日本だけでなく北大西洋条約機構(NATO)加盟国など反対意見が多いことも事実だが、ドアを完全に閉めずオープンマインドで条約を見守ってほしい」と要望した。

◆NPT再検討会議「核不使用の原則を再確認」

 コロナの影響で、来年に延期された核拡散防止条約(NPT)の再検討会議については「これほど安全保障環境が悪化する中で、核兵器が決して使用されてはいけないという原則を再確認する。誤算や誤解から核戦争が始まらないよう、危険回避のためのあらゆる合意が必要だ」と主張した。
 来年2月に期限切れとなる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)を巡っては、米国が中国の参加を求め、延長交渉が難航しているが、中満氏は「延長してほしいと何度も言っている。その上で、どういう形で枠組みを広げるかを考えてほしい」と提案。失効回避を訴えた。
 相互の総領事館を閉鎖するなど対立が強まる米中関係に関しては「できれば対話の道に戻ってほしい。超大国が表立って対立関係にあることは、国連にとっては非常に難しい状況だ」と懸念を示した。
 中満氏は、広島と長崎の両市でそれぞれ開かれる平和式典に出席する。7月中旬に米国から入国後、2週間の自主隔離中に、ビデオ会議システム「Zoomズーム」でインタビューに応じた。中満氏の一問一答はこちら

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