<ひと ゆめ みらい>AI観光案内ロボ「ズック」開発・伊沢諒太(いざわ・りょうた)さん(33)=大田区

2020年8月4日 07時30分

これまでに4万台販売されたズックを手にする伊沢諒太さん=大田区で

 自社が開発した人工知能(AI)搭載ロボット「ズック」が、羽田空港近くに七月、開業した複合施設「羽田イノベーションシティ」の観光案内所などに、置かれている。フクロウの形をしており、高さは約十センチ。訪れる客と会話し、空港や観光スポットを案内する。
 伊沢さんは二〇一〇年、「これからの社会の役に立つものを創りたい」と、ものづくりベンチャー「ハタプロ」(港区)を起業した。AIと、さまざまなものをインターネットでつなぐIoTのノウハウを組み合わせたら新しいものができそうだと考えた。台湾のメーカーとスマホ版顕微鏡などを開発、実績を積み重ねてきた。
 大田区産業振興課の職員から「ハタプロのような、ものづくりベンチャーを集積して、日本経済を活性化させたい」と声を掛けられ、子会社「ハタプロ・ロボティクス」をつくり、一七年に区内に研究拠点を設けてズックを開発。生産拠点を台湾から国内に移した。
 技術や経営面で優れた町工場を区に紹介してもらい、ズックの動きをスムーズにする回転台座などを発注。細かい図面や技術仕様書がなかったが、職人らは親身になって数々の技術提案をしてくれた。
 区内約三千五百社の町工場には、それぞれ得意な作業工程を担当して一つの製品を作り上げる独自のネットワーク「仲間回し」があるが、ズックはそれに入ることができ、最終的に二十社以上と新たな関係を築けたことも財産になった。
 「台湾は飛行機で出向いていたが、大田区内であれば移動時間が短い。言葉も日本語だから、お互いの理解も早く、開発スピードも品質も予想以上。何より行政お墨付きの老舗工場が関わった、しっかりとした製品という印象を与え、仕事のチャンスが増えた」と笑顔を見せる。
 新たなロボット開発を目指して今年四月から、高齢者の重大事故を防ぐため東工大と共同研究を始めた。
 「withコロナの時代、ズックのような画像や音声で対話できるAIロボットに期待する声は高まっている。町工場などとの連携を生かして、今後も医療や介護など働き者のロボットをどんどん作り、世界展開していきたい」
(市川千晴)
   ◇
 栃木県上三川町出身。ハタプロには、次代の人や物を創る旗手になるという気概が込められているという。ズックは一人暮らしの高齢者の話し相手になり、会話から体調の変化を読み取り、離れて暮らす家族に知らせるなど、見守りサービスなどにも活用されている。

関連キーワード

PR情報

東京の最新ニュース

記事一覧