北朝鮮、核兵器の小型化実現か 国連安保理の専門家パネル報告書

2020年8月5日 05時50分

北朝鮮の平壌で7月18日、朝鮮労働党中央軍事委員会の非公開会議で発言する金正恩党委員長(奥)=朝鮮中央通信・共同


 【ニューヨーク=赤川肇】国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の下で制裁違反について調べる専門家パネルは3日、制裁履行状況に関する中間報告書を制裁委に提出。北朝鮮が核開発を続け、核弾頭として弾道ミサイルに搭載可能な核兵器の小型化を「恐らく実現した」とする複数の加盟国の見方を報告書に盛り込んだ。ロイター通信が伝えた。
 報告書では北朝鮮について「高濃縮ウランの製造や実験用軽水炉の建設を含め、核開発を続けている」とし、不特定加盟国の見方として核兵器開発の継続を明記した。また、金融機関や仮想通貨の交換所に対する広範かつ洗練されたサイバー攻撃で、昨年だけで推定20億ドル(約2100億円)を稼ぎ出したとの見方を示し、北朝鮮にとって仮想通貨などが今後も魅力的な収入源になるとの見方を指摘した。
 北朝鮮は2017年9月以降、核実験を停止。一方で、安保理決議で禁じられている弾道ミサイルの発射実験を繰り返している。

◆韓国国防省「北朝鮮、相当なレベルに」 平壌近郊に秘密施設か

 【ソウル=相坂穣】国連の北朝鮮制裁委員会専門家パネルが中間報告書で言及した北朝鮮の弾道ミサイル搭載可能な小型核兵器の開発について、韓国国防省の副報道官は4日、「北朝鮮の能力は相当なレベルに達したと評価している」と述べた。米国の研究機関が先月、平壌近郊の元魯里ウォンロリに核兵器関連の秘密施設が設置されている可能性を指摘するなど、日米韓で懸念が強まっている。
 昨年2月の米朝首脳ハノイ会談では、北朝鮮が制裁解除に向けて核開発拠点の寧辺ニョンビョンを放棄するカードを示したが、米国は受け入れなかった。米朝非核化交渉が停滞を続けるのは、北朝鮮が寧辺以外の施設や30~40発とされる核弾頭、原料の高濃縮ウランを保有しているとみられるためだ。
 米ミドルベリー国際大学院の研究チームは7月8日、衛星写真の分析を通じて、平壌から約10キロの元魯里の地下施設で、核弾頭が製造されているとの見方を初めて明らかにした。
 韓国の国防省関係者は、「民間の研究成果に言及するのは適切ではない」と元魯里の施設が核関連かどうかの事実確認を避けつつも「米韓が緊密に協力して施設を注視している」と語った。
 韓国の大手紙・中央日報も、元魯里の地下施設が「高濃縮ウランの生産や保管場所になり得る」と指摘。東亜日報は「北朝鮮が弾道ミサイルに装着する核弾頭の小型化と大気圏再突入技術を確保する上で(元魯里の)役割が大きくなる」と伝えた。
 日本政府も7月に発表した今年の防衛白書で、「北朝鮮が核兵器の小型化、弾頭化を実現し、弾道ミサイルに搭載してわが国を攻撃する能力を既に保有しているとみられる」と記した。
 金正恩朝鮮労働党委員長は7月18日、党中央軍事委員会の非公開会議を指導し、「戦争抑止力の強化」を議論。同27日の演説で「自衛的核抑止力によって、国家の安全と未来は永遠に保証される」と述べ、核保有の意思を強調した。

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