「会わなかったことに」IR汚職で偽証依頼か 会社役員ら3人逮捕

2020年8月4日 22時29分
 衆院議員の秋元司被告(48)=自民党を離党=が収賄罪で起訴されたカジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件に絡み、裁判でうその証言をする報酬として贈賄側に現金を渡そうとしたとして、東京地検特捜部は4日、組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで、会社役員淡路明人容疑者(54)=東京都港区=ら3人を逮捕した。
 関係者によると、淡路容疑者らは贈賄側に「衆院議員会館で秋元被告に会わなかったことにしてほしい」と偽証を依頼したという。特捜部は同日、秋元被告の知人が代表を務める東京・新橋の経営コンサル会社を家宅捜索。秋元被告側と3人の接点の有無を調べている。

◆秋元被告「関与ありません」

 秋元被告は本紙の取材に「関与ありません」とメールで回答した。
 淡路容疑者は、マルチ商法で消費者庁から業務停止命令を受けた札幌市の暗号資産(仮想通貨)販売会社「48(よつば)ホールディングス」の元社長。ほかに逮捕されたのは、いずれも会社役員の佐藤文彦(50)=中央区、宮武和寛(49)=那覇市=の両容疑者。特捜部は3人の認否を明らかにしていない。

◆見返りに2000万円提示の疑い

 逮捕容疑などでは、淡路、佐藤の両容疑者は6月27日、那覇市内のホテルで、贈賄罪で起訴された中国企業「500ドットコム」の顧問だった紺野昌彦被告(48)に虚偽の証言をすれば現金1000万円を渡すと申し出た上、7月22日にも報酬2000万円で偽証を依頼しようとしたとされる。
 宮武容疑者は那覇市内で6月上旬と7月ごろ、贈賄罪で起訴された500コム元顧問の仲里勝憲被告(48)に、偽証の報酬として継続的な利益供与や現金数100万円の提供を申し出た疑い。
 IR汚職事件で、秋元被告はIR担当の内閣府副大臣だった2017~18年、IRへの参入を目指していた500コム側から議員会館などで約760万円相当の賄賂を受け取ったとして起訴されたが、一貫して否認。紺野、仲里両被告は「議員会館で賄賂を手渡した」と認めていた。

◆淡路容疑者「桜を見る会」参加 マルチ勧誘に首相夫妻との写真

 IR汚職事件の贈賄側に偽証を持ちかけたとされる淡路明人容疑者は、安倍晋三首相の後援会が開いた「桜を見る会前夜祭」で撮った首相夫妻との写真を、マルチ商法の勧誘に使っていたことが国会で問題視されたこともあった。
 淡路容疑者は2015年に「48ホールディングス」を設立し、仮想通貨「クローバーコイン」の販売を始めた。新規会員を勧誘した会員に報酬が入るマルチ商法で、「購入すれば1カ月半後には10倍に値上がりする」とうたっていた。
 消費者庁などによると、17年6月までに200億円以上を売り上げる一方、消費生活センターへの相談や苦情は17年10月までに計367件に上った。消費者庁が同月、販売手法が特定商取引法違反(不実告知など)に当たるとして業務停止命令を出したのを機に、会員による損害賠償請求訴訟が各地で相次いだ。
 淡路容疑者は16年4月、安倍首相主催の「桜を見る会」に出席している。前日の「前夜祭」にも参加し、その際の首相夫妻との写真を仮想通貨の勧誘に使っていたことが、今年2月に本紙報道で判明。国会で野党から「首相との写真が(マルチの)被害を拡大させたのではないか」と追及され、首相が「私自身は彼と知人ではない」と答弁する一幕もあった。 (山田雄之、山下葉月、井上真典)

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