歴史・公民教科書 「やっと」脱・育鵬社版 横浜市教委不採択、市民団体に達成感

2020年8月5日 06時42分

育鵬社の教科書不採択が決まり、横浜市庁舎前で喜びを分かち合う市民ら=横浜市中区で

 横浜市立中学校などの歴史と公民の教科書に、来年度以降も育鵬社版が使われるのか注目を集めた四日の同市教育委員会で他社版が選ばれ、育鵬社版への反対運動を続けてきた市民らに達成感が広がった。一方、採択が無記名投票で行われたことに「不透明さが残る」と不満の声が出た。(石原真樹、杉戸祐子)
 「子どもや保護者、現場の先生の方を向いた採択が行われた」「長い闘いがやっと終わった」。採択後に市庁舎前などで開かれた市民団体の集会。庁舎内で傍聴したメンバーとネット中継で審議を見守った市民らが喜びと安堵(あんど)を織り交ぜつつ、活動を振り返った。
 教科書を採択する地区として全国最大の同市。選ばれた教科書は来年度の中学生七万四千人が使う。傍聴した戸塚区の元教員高村広昭さん(78)は「審議で『多面的、多角的な視点』という言葉が多く使われた。一定の価値観を強制的に教え込むのではなく、共に考えていくという発想が教育委員にあった」と評価した。
 市立中の元教員で「横浜教科書問題市民・有識者会議」の加藤誠事務局長(81)は「教育委員が政治的な圧力に縛られずに下した画期的な判断。全国にとっても大きな転換点」と話した。
 市民団体「横浜教科書採択連絡会」世話人の佐藤満喜子さん(71)は採択を喜びつつ「無記名投票の不透明さが残る」と指摘。傍聴席で見届けた港南区の元市立小教員鶴田一子さん(76)も「責任を考えたら記名投票であるべきだ」と話した。
 鯉渕信也教育長は取材に「教委全体の合議制で決定している」と述べた。

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