【動画あり】レバノン爆発 コロナに追い打ち「徹夜で治療も終わりが見えない」

2020年8月5日 22時27分
 【カイロ=蜘手美鶴】4日にレバノンの首都ベイルートで起きた大規模爆発は、新型コロナウイルスの対応に追われる病院に多数の負傷者が運び込まれ、医療従事者をさらに圧迫。経済危機と政情不安が続く市民生活にもさらなる追い打ちをかける形となった。

ベイルートのアル・ルーム病院の内部。天井が落ち、ガラスが吹き飛んでいる=写真は、いずれもナーマ医師提供

 「負傷者が次から次とやってきて、徹夜で治療しているが終わりが見えない」
 ベイルート中心部にあるホーリー病院のアシア・テルブ医師は、電話取材に300人の収容人数に4日夜だけで約1000人が運び込まれたと説明。ガラスの破片で負傷した人が最も多く、廊下や病院前の路上でも治療が続いているという。
 現場から約2キロのアル・ルーム病院では、看護師4人と患者12人が犠牲となり、イスカンダル・ナーマ医師は「病院の中に爆弾が落ちたようだ。何もかもめちゃくちゃで医療を施せない」と訴えた。

アル・ルーム病院の内部


◆7月下旬から新規感染者急増中

 人口約690万人のレバノンは、7月下旬から新型コロナの新規感染者が1日200人超と急増。アルマカーセッド病院の看護師リーナさん(42)は「新型コロナで忙しい中で今回の大爆発が起きた。もう手が回らない」と悲鳴。別の病院関係者によると、新型コロナ患者がいた病院が崩壊し、感染拡大防止のため周囲が封鎖されているという。

◆「力を貸して」首相がテレビ演説で周辺諸国に要請

 爆風は広範囲を巻き込み、数百棟の店舗や住宅が被害を受け、政府によると約30万人が住居を失った。3月にはデフォルト(債務不履行)に陥り、断続的に反政府デモが続くなか、ホテル従業員のマルワン・カサールさん(39)は「ホテルも壊れて観光客も見込めず希望はない。通貨が下落して苦しいのに爆発が決定打になった」。ブティックを営むジャスミン・アダムさんは「店のガラスが割れ、商品もめちゃくちゃ。もう暮らせない」と話し、故郷のベルギーに帰るという。
 ディアブ首相はテレビ演説で「爆発で傷ついたレバノンの人々を癒やすため、どうか力を貸してほしい」と周辺国に支援を要請。トルコやサウジアラビアが支援を申し出たほか、国境付近で緊張が続く隣国イスラエルも「爆発には関与していない」とした上で、医療支援などを行う用意があるとした。

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