藤井聡太棋聖、王位戦3連勝で王手 初の10代二冠まであと1勝

2020年8月5日 22時55分
 将棋の木村一基王位(47)に藤井聡太棋聖(18)が挑戦している第61期王位戦7番勝負(東京新聞主催)の第3局は5日午前9時、神戸市の有馬温泉「中の坊瑞苑」で指し継がれ、午後7時22分、149手までで先手番の藤井が勝ち、3連勝で初の王位獲得と二冠に王手をかけた。(樋口薫)

木村一基王位(右)を破り、2冠目のタイトル奪取に王位をかけた藤井聡太棋聖=5日午後8時1分、神戸市北区、旅館「中の坊瑞苑」で

 従来の二冠の最年少記録は、羽生善治九段(49)の21歳11カ月で、第4局以降、藤井が王位を獲得すれば初の10代二冠となる。
 シリーズ初の相矢倉の戦型となり、藤井が積極的な攻めでペースを握った。「受け師」の異名を持つ木村の懸命の粘りに、藤井が決め手を逃したかと思われたが、動揺せず立て直して後手玉を寄せきった。
 持ち時間各8時間のうち、残りは藤井2分、木村1分。第4局は19、20日、福岡市の「大濠公園能楽堂」で指される。

◆「藤井棋聖、間違えたのでは」…一時騒然も

「1三銀か、あーっ。そうでしたか」。終局直後、立会人の淡路仁茂九段(70)に逆転の可能性があったことを知らされた木村一基王位(47)は頭に手をやり、天を仰いだ。大激戦を制し、藤井聡太棋聖(18)が3勝目を挙げた王位戦7番勝負(東京新聞主催)の第3局。藤井棋聖が攻めきったかと思われた最終盤で、ドラマが待っていた。
 シリーズ初の相矢倉の戦いとなった本局。棋風通り藤井が攻め、木村が受ける展開に。2日目、藤井が4五歩(57手目)と仕掛けて激しくなった。攻め駒が躍動する猛烈な攻めに「『受け師』の木村王位でも、この攻めは受けられないのでは」と、淡路九段もさじを投げた。
 しかし木村は6二銀(90手目)と貴重な持ち駒を自陣に投入して徹底抗戦。「受けられて手が分からなかった」と、正確な終盤力に定評のある藤井を惑わせた。それでも8四香(97手目)が王手飛車取りを含みにした鋭い一手で、勝負あったかと思われた。
 木村はなおもあきらめず、3六角(104手目)から入玉に望みをかけると、その迫力に藤井が決め手を誤る。藤井は2一銀打(121手目)としたが「誤算があった。寄りがなくなり、厳しくしてしまった」。終局が近いとみていた控室も「藤井棋聖、間違えたのでは」と騒然となった。
 しかし、木村も勝負手を逃す。3三銀(128手目)と受けた場面では、1三銀と打つ有力手があり、「負けだったかも」と藤井。感想戦でそれを聞いた木村は「指さなくてはいけませんでした」と嘆いた。ミスにも動揺を見せなかった藤井は、最後は4九飛(141手目)と回り、ぎりぎりの攻めをつなげて薄氷の勝利を手にした。
 初の王位と二冠獲得に王手をかけた藤井は「ここまでの将棋の内容を反省し、第4局もいい将棋を指したい」と落ち着いた様子で語った。懸命の粘りも実らず、3連敗となった木村は「これで後がなくなったが、次もいつも通りに指したい」と絞り出した。

感想戦で戦いを振り返る木村一基王位(右)と藤井聡太棋聖=5日午後7時54分、神戸市北区有馬町、旅館「中の坊瑞苑」で


藤井聡太棋聖の話
 4五桂(83手目)から5三桂成(85手目)と手順に桂馬がさばけたが、3四歩(87手目)がやり過ぎだった。2一銀打(121手目)に対し、2二玉(122手目)と取られてから負けにしてしまったが、4九飛(141手目)と回って好転した。
木村一基王位の話
 2四歩(41手目)から歩を交換されて損をしたなと思っていた。5九角(63手目)と引いた相手の構想が秀逸だった。攻められっぱなしになったが、諦めてはいけないと思って6二銀(90手目)とした。終盤にチャンスがあったとしたら残念だったと思う。

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