コロナ対策も町工場にお任せ! 発想と技術で安心・快適に

2020年8月6日 07時15分

足踏み式の消毒液スタンドを製作し、江戸川区に寄贈した(左から)北村稔さん、横山学さん、山田希さん。踏みやすいよう、ペダルの角度の調整に苦戦した=江戸川区で

 日本のものづくりを縁の下の力持ちとして支えてきた下町の町工場が、新型コロナウイルス禍で存在感をみせている。持ち前の技術とアイデアで対策グッズを次々と生み出し、市中の感染防止に力を注ぐ。「今こそ区民のため、業界のため」と使命感に燃える。

◆江戸川区 ペダル踏めば…

ペダルを踏めば消毒液が出る

 消毒液のボトルは街中で見慣れた光景になった。でも、「容器にウイルスが付いているかも」とためらったことはないだろうか。そんな不安に応えようと、江戸川区の四社が手を組んで、足踏み式の消毒液スタンドを共同開発した。足元のペダルを踏めば、ボトルに触れずに手や指を消毒できる。
 普段からつながりがある四社は、客がつぶやいた「ボトルに触れたくない」という言葉をヒントに製作を始めた。レーザー加工技術を持つ「市松鋼材」が材料の鉄を切断して次の工程にパス。曲げ加工が得意な「土筆(つくし)鋼業」がペダルの踏みやすさを追求し、水平に対してマイナス一〇度の角度に成形した。鉄鋼業の「ヨコヤマ工業」が溶接を担い、印刷を主とする「岩戸ネームプレート工業」が組み立てと塗装をして完成させた。
 四社は「地元の業者として区民の役に立ちたかった」と十台を区に寄贈、区役所や区民施設で活用されている。発案した岩戸ネームプレートの北村稔さん(45)は「手を組んだからこそ実現できた。(工場数が二十三区で最多の)大田区に負けず、メードイン江戸川をPRしていきたい」と意欲をみせた。

◆葛飾区 メガネに装着

メガネに装着するマウスガードを着け、製品について語る精工パッキングの平井秀明社長。マネキンが着けているのはメガネに装着するフェースシールド=葛飾区で

 消毒液とともに感染予防にはマスクも手放せないが、夏は熱中症リスクを高めかねない。そこで、マスク代わりになればと、葛飾区の部品メーカー「精工パッキング」は透明なシートで顔を覆う、使い捨てのフェースシールドを作った。
 シートには切り込みが二カ所あり、メガネのフレームを通せばメガネ一体型になる。炎天下で装着してもマスクのような息苦しさはなく、マスクのひもで耳の後ろが痛くなる心配もない。暑がりだという平井秀明社長(46)が「猛暑になるとマスクをしていられない」と考え付いた。
 自動車や家電などの部品を手掛ける本業と同じように、基になる型を作ってしまえば安く大量に供給できる。一枚あたり一般客には百六十五円、大量に仕入れる業者には六十六円で販売しており、コンサートスタッフや英会話教室の講師らから引き合いがある。
 平井社長は「取引量が90%減った同業者もいる。不安が渦巻く業界を盛り上げていきたい」と語る。

◆足立区 触れずにOK

つり革に引っかけて使う感染予防グッズ「ハンドフレン」(プリントアート提供)

 町工場ではないが、アイデア品の開発を手掛ける足立区の会社「プリントアート」は、電車やバスのつり革に引っかけて使う感染予防グッズを作った。その名も、しゃれをきかせた「ハンド(手)フレン(触れん)」。六十グラムの軽さや二点で支える安定性が自慢だ。
 ドアノブを開けたりエレベーターのボタンを押したりするのにも使え、これまでに五千個を販売。大手家電量販店の店頭にも並ぶ。「足立のエジソン」の異名もある島崎勝信社長(76)は「日々の暮らしのストレスを少しでも減らせられたら」と力を込める。
 文・加藤健太/写真・佐藤哲紀、淡路久喜
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