<戦後75年>核、同世代と考えたい 広島、長崎で若者ら発信 オンラインも活用

2020年8月6日 07時37分

5月に開かれたオンライン発表会で核廃絶を訴える参加者ら(ナガサキ・ユース代表団提供)

 広島、長崎に原爆が投下されて七十五年。記憶を継承しようと、被爆地で若い世代が活動している。新型コロナウイルスの影響で制約もある中、オンラインを活用するなど、新たな動きも。「同世代に自分ごととして考えてもらうにはどうしたらいいか」と模索する。 (長田真由美)
 「八月六日は大学が休みだって。理由は分からないけど、ラッキー」
 広島市の平和記念公園で外国人に英語で案内する「ユースピースボランティア」の一人で、同市の大学二年池田風雅(ふうが)さん(19)は昨年、友人の言葉に驚いた。池田さんが通う県内の大学では、原爆忌は「平和記念日」として毎年休校に。友人は他県出身だが、池田さんはショックだったという。
 広島県府中市で生まれ育った。父に誘われ、幼少時から平和関連のイベントに参加。広島平和記念資料館、記念式典にも何度も行き、被爆者から体験談も聞いた。親族に被爆者はいないが、原爆や平和学習は身近で、自然と関心を持った。
 被爆後も放射能の後遺症や差別に苦しみ、核廃絶を強く願う被爆者たちの思いを届けたい−。高校三年のとき、平和首長会議の高校生代表団に選ばれ、スイスに派遣。コスタリカの大使から「世界に変化を起こすのは若者。若者が動かなくては」と励まされた。
 大学生になりユースピースボランティアに志願。被爆証言を英語で聞いたり、実際に英語でガイドする大人から話を聞いたりして知識を深めている。核問題に対する同世代との温度差に危機感を抱きつつ「まず身近な人に知ってもらう。垣根をつくらず、少しずつでも一緒に考える仲間の輪を広げていきたい」と話す。
     ◇
 長崎市で核廃絶運動に取り組む長崎大大学院一年の中島大樹さん(22)らが二〇一八年に、全国の高校生から大学院生までの若者約千二百人に実施したアンケートでは核兵器や原発などの核問題に「関心がある」「少しある」と答えた人は79%に上る一方、関連した活動やイベントに参加した人はこの二割にとどまった。中島さんは「どんな活動ができるのか情報が届いていないのでは」と指摘する。
 愛知県出身で、長崎大大学院一年の川村和輝さん(22)は、長崎県内の学生らでつくる「ナガサキ・ユース代表団」の一人として核廃絶を訴えている。
 ユースは県や長崎市、長崎大でつくる「核兵器廃絶長崎連絡協議会」が、核問題を学び発信する若者を育成するプロジェクトとして一三年から毎年募集。川村さんは第八期生だ。
 父方の実家が長崎県平戸市で今も祖父母が住む。親戚に被爆者はおらず、祖父母や親から原爆の話を聞いたことはなかった。
 関心を持ったきっかけは小学校の授業で知った原爆投下。「祖父母の県だ」と長崎市の長崎原爆資料館に足を運んだ。惨状を伝える展示に「怖い」と感じつつ、「なぜ核兵器がなくならないのか」と思った。
 親の仕事で、中学時代に米国に住んだ際は米国人の年配者から「原爆によって戦争が終わり、核抑止力で戦争が避けられている」と肯定する声も聞いた。さまざまな見方を知り「自分にできること」を模索。ユースに応募した。
 今年はニューヨークでの会議に派遣され、各国の若者と交流する予定だったが、コロナ禍で中止に。代わりに、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」でのオンライン発表会を企画。五月に欧米やエジプト、中国など国内外の約九十人に広島と長崎の被害を伝えた。川村さんは「核がある限り、だれもがヒバクシャになり得る。核を自分の問題として捉えられるよう発信していきたい」と意欲を語った。

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