<ふくしまの10年・雪が落とした災い>(8)避難説明会 不安ばかり

2020年8月6日 07時55分

国の全村避難決定を受けて開かれた村民説明会=飯舘村で(豊田直巳さん提供)

 最悪レベルの原発事故からちょうど一カ月後の二〇一一年四月十一日、政府は飯舘村を「計画的避難区域」に指定し、一カ月ほどの間に全村避難させる方針を決めた。
 政府決定を受け、村は十三〜十六日、村内六カ所で住民説明会を開いた。
 「私らと何の関係もない原発の事故が起き、運悪く私たちの村に放射能が少したまってしまった。何もちょうど事故の一カ月後でなくてもいいのに、計画的避難が発表されました」。菅野典雄村長はこうあいさつした。
 住民に配られた資料には、村に住み続ければ翌年三月までの一年間に、一般人の年間被ばく線量限度(一ミリシーベルト)の十〜六十一倍の被ばくをするとの推定値が記されていた。ただし、この程度の被ばく線量ならば「健康への影響はない」とも記されていた。
 説明会は冷静な雰囲気で進んだものの、「大きな問題はない」と聞かされ、事故後一カ月も村で暮らしている住民の動揺は大きかった。
 「特に子どもたちへの対応が遅い。安全安心と聞かされてきたのになぜ避難なのか」
 「避難しろと言われても、飼育している牛たちをどうするんだ」
 「避難は何年続くのか。腰掛け的な避難は不安だ」
 さまざまな質問が出たが、菅野村長は「自分の責任で答えられれば楽ですが、残念ながら申し上げられない。できるだけ早く帰れるようあらゆる手段を尽くします」。こう答えるのがやっとだった。

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