防災と脱炭素 洪水の本を絶つために

2020年8月7日 08時12分
 異例に長く激しい梅雨だった。球磨川や最上川など大河川の氾濫が相次いだ。温暖化による海水温の上昇が、豪雨の頻発に関連があるという。温暖化対策も、洪水対策の一つではないのだろうか。
 異常気象の「常態化」、異常であることが当たり前になったといわれて久しいが、今年の梅雨の雨量の多さは際立っている。
 梅雨前線が中国大陸から日本列島に沿うように異例の長期にわたり居座って、九州から東北にかけての広い範囲に豪雨被害をもたらした。
 鹿児島県の鹿屋市では、大雨の降り始めとされる七月三日から一週間の雨量が、平年の七月一カ月間の三倍以上、岐阜県下呂市でも二倍以上に上る。
 日本近海の海水温が平年より一度ほど高くなっていて、海から発生した大量の水蒸気が私たちの頭上に流れ込み、積乱雲の連なりである線状降水帯を生み出した。気象庁も豪雨頻発の背景に地球温暖化の影響があるとみる。
 名古屋大などによると、熊本県の球磨川が氾濫した四日未明には、毎秒四十万トンから六十万トン、アマゾン川の二倍から三倍の水量をはらんだ“水蒸気の川”が天空を流れていた計算になるという。尋常なことではない。
 七月の豪雨被害は、日本だけのことではない。中国でも長江の上流域で洪水が頻発し、被害は広域に及んでいる。
 国土交通省によると、アジアでは毎年約四億人以上が洪水の被害に遭っている。温暖化の進行とともに洪水が起こりやすい地域は拡大し、二〇五〇年には、世界で約二十億人が洪水の危険にさらされることになるという。
 国交省の技術検討会は国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第五次評価報告書を踏まえ、気温が二度上昇すると、国内の洪水発生頻度は約二倍、四度では約四倍に増すとして、過去の観測データだけではなく、将来予測にのっとった治水対策の強化が必要だと訴える。温暖化と災害の関連性が明らかになりつつある。
 だとすれば、堤防をいかに高く堅固にできても、安心とは言い切れないのが地球温暖化の現実だ。
 温暖化による破局的な被害を避けるため、国連は二酸化炭素(CO2)の排出を五〇年までに実質ゼロにするよう求めている。
 防災の観点からすれば、「脱炭素」は一層待ったなしの課題なのである。

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