コロナと夏休み 帰省は対策を講じて

2020年8月7日 08時13分
 新型コロナウイルスの感染拡大後、初めて旧盆の帰省シーズンを迎える。地方自治体は総じて帰省に慎重だ。この時期にしか帰省できない場合、万全の対策を講じる必要がある。
 都市と地方に分かれて暮らす家族の間では帰省すべきか否か、逡巡(しゅんじゅん)が広がっているに違いない。地方に住む親たちが「来ないで」と帰省を断る例も多いと聞く。
 自分の感染より、感染を広げて周囲に迷惑を掛けることが耐え難い。そんな心の負担は、顔の見える付き合いが多い地方の方が大きいだろう。都会からの訪問者がいるだけで訪問介護を断られるケースさえあるという。感染拡大により、地方の不安は広がっている。
 岩手県初となった感染者の勤務先には抗議の電話が殺到し、長野県では、職員の感染が公表された銀行支店の窓ガラスが夜間、投石で割られる事件があった。感染ゆえの嫌がらせは卑劣極まりない。
 家族が互いを思い、顔を合わせるために出掛けるのは不要不急でない。不寛容が都市と地方、家族の絆を断ってはならない。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は五日の記者会見で、帰省の際、十分な感染症対策ができない場合は、慎重な判断を国民に促すよう政府に提言したことを明らかにした。
 地方では、県独自の緊急事態宣言をきのう出した愛知県が県をまたぐ帰省などの自粛を求め、福井県や茨城県は、東京都内からの帰省の自粛を求めるなど、総じて帰省に慎重な姿勢を示す。
 一方、政府は「一律に自粛を要請するものではない」(西村康稔経済再生担当相)という立場だ。政府は展開中の「Go To」キャンペーンで観光目的の家族旅行は勧めており、何を帰省の判断材料にすべきか、迷ってしまう。
 結局、家族間で話し合いを重ねて判断するしかないのだろう。
 実家まで長距離を移動し、久しぶりに会う親らと寝食を共にする場合、より慎重に感染予防に努めることは当然だ。
 政府分科会の提言などを踏まえれば、訪問前から「三密」を避けた生活を心掛け、帰省中も大人数での宴会、飲食店や旧友宅訪問などの外出は極力避け、高齢者との接触は最小限に、という注意が必要だ。
 万が一、地域に感染者が出たとしても、誰が悪いわけではない。自分だけはかからないという安易な前提で、他者を攻撃することは絶対にしてはならない。

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