コロナ6指標、感染対策は自治体任せ 政府、宣言避け対応後手

2020年8月8日 05時50分
 政府の有識者分科会は7日、新型コロナウイルスの感染状況を判断する6つの指標をまとめ、病床の占有率など具体的な数値を示す一方、感染の深刻度は「総合的に判断する」とし、都道府県に対応を委ねた。「先手の対応」というが、東京都や大阪府は既に独自の感染状況の指標を設けており、政府の対応は後手に回っている。(中沢誠、井上靖史、原田遼、藤川大樹)

◆「指標はあくまで目安」

 「指標を機械的に判断するのではなく、複数の指標を総合的に判断し、積極的かつ機動的に対策を講じてほしい」。分科会後の会見で、尾身茂会長は公表した指標の考え方を示した。
 分科会が示した6つの指標は、4段階の感染状況のうち、3番目に深刻なステージ3と、最も深刻なステージ4に当たるかどうかの判断基準。ステージ4では「人口10万人あたりの療養者数が25人以上」などとする。
 分科会は「指標はあくまで目安」とする。尾身氏は「現場を知っているのは知事さん。知事が主体的にやるべきだ」と判断を都道府県に委ねた。
 感染状況に応じて、都道府県が取るべき対策も例示したが、できることは事業者への「お願い」でしかない。会見に同席した分科会メンバーの平井伸治・鳥取県知事は提言に賛同しつつ、「徒手空拳では戦えない」とも発言。休業要請に当たって事業者への協力金など国に対して財政支援や制度的な補償を求めた。

◆「宣言出すような状況にない」と繰り返す

 分科会は、4段階の感染状況のうち最も深刻なステージ4では、「緊急事態宣言など強制性のある対応を検討せざるを得ない」と位置付けた。尾身氏は「ステージ4は間違いなく国の役割」と強調する。
 その政府は「直ちに宣言を出すような状況にない」と繰り返し、再宣言には後ろ向きだ。
 もともと政府は、再宣言の数値基準を示すことに「数字が独り歩きする」として否定的だった。1週間前の分科会で指標の発表が見送られたのも、政府側の意向が反映したとみられている。指標を設けながら「総合的な判断」となった今回の提言は、政府の意向に沿う形となった。
 菅義偉官房長官も7日の記者会見で、指標が示されても「直ちに基本的対処方針の変更が必要になると考えていない」と話した。

◆一部の地域では深刻度を増す

 「いただいた目安を見ながら先手先手で対策を打っていく」。西村康稔経済再生担当相は分科会後、会見でそう語った。
 「先手」と言いながら、既に足元の感染は広がっている。7日は、沖縄県と大阪府が、いずれも新規感染者数の最多を更新。分科会の指標を見ても、既に一部の地域では深刻度を増しているようにみえる。
 沖縄県の場合、分科会の指標を当てはめると、10万人あたりの療養者数と週間陽性者数の数値で、宣言の検討が必要なステージ4に当たる。残り4つの指標のうち2つはステージ3の「感染急増」の状況にある。東京都では、陽性率を除く5つの指標がステージ3の状況に当たっていた。
 国が手をこまねいているうちに、東京都や大阪府も独自に感染状況の指標を設け、愛知県や沖縄県は先に独自の緊急事態宣言を出している。

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