東海第二再稼働 否決の県民投票条例案 人選は森田議長の意向 参考人にエネ庁、規制庁職員

2020年8月8日 07時34分

県民投票条例案の審議に参考人として出席した原子力規制庁職員(手前右と後方左から1〜3人目)=6月18日、県議会で

 東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例案の審議を巡り、県議会が「連合審査会」の参考人として、県民投票とは直接関係がない経済産業省資源エネルギー庁や原子力規制庁の職員を招いたことが論議を呼んだ。本紙が情報公開請求したところ、この人選に森田悦男議長の意向が強く反映されていたことが裏付けられた。当初、原電関係者の招致が検討されたことも明らかになった。 (宮尾幹成)

森田議長

 六月十八日に開かれた連合審査会には、条例案を直接請求した住民グループ「いばらき原発県民投票の会」の共同代表(三人)と地方自治の専門家、東海村の山田修村長に加え、エネ庁(一人)と規制庁(四人)の職員が参考人として出席した。他県の例では、静岡県議会が原子力工学などの専門家を招いたケースはあるものの、原子力関係の政府職員は前例がない。
 エネ庁と規制庁の職員が出席することに、連合審査会の審議方法を決めた議会運営委員会では「議論が再稼働の是非に広がっていく」と懸念する声が上がったが、石井邦一委員長(自民)が「議長の意向もある」と押し切った。
 議会事務局は本紙の情報公開請求を受け、議長と事務局が四月一日、七日、二十日に審議方法を打ち合わせた際の資料や、事務局職員によるメモを開示した。
 開示資料によると、事務局は一日の打ち合わせで、参考人の候補として県民投票の会の共同代表、原子力や地方自治関係の学識経験者、立地・周辺自治体の首長に加え、原電の関係者を提示。議長は「なるべく多く(全て)呼んだ方が良い」と応じ、具体的な人選を進めるよう促した。
 七日の時点で原電は「当事者」であるとして候補から外れ、二十日にはエネ庁と規制庁を呼ぶことを議長が了承。議長は「地元の意見を無視できない」として、山田村長の出席にもこだわりを見せた。
 森田議長はこうした人選について、本紙の取材に「私の思いと理解していただいて結構だ。県民投票について議論を尽くすには、投票のテーマとなる原発再稼働についてもエネ庁や規制庁、首長の意見を聞くべきだと考えた」と説明した。
 一方で議長は、二十日の打ち合わせで「新型コロナウイルスの影響で平時と同様の審議時間を取れるとは限らない。重要な案件で審議時間を短縮してはいけない」とも述べ、条例案の取り扱いを九月定例会に持ち越す「継続審査」も想定するよう事務局に指示していた。
 条例案は、六月十八日の連合審査会での約六時間の審議を経て、その日の防災環境産業委員会で否決。二十三日の本会議でも否決された。共産などは継続審議を求めたが、自民などの反対で退けられた。
 森田議長は「六月定例会の短い会期で、他県と比べても十分な審議時間を確保した。民主主義では、最後は結論を出さなくてはならない」と理解を求めつつ、「(会期の長い)九月定例会でゆとりを持ってやりたかったという思いはある」と振り返った。
 森田議長は古河市選挙区選出で当選六回。最大会派いばらき自民に所属するベテラン議員で、昨年十二月に議長に就任した。

関連キーワード

PR情報