もし75年前にTwitterがあったら…原爆の日の「ひろしまタイムライン」に注目集まる

2020年8月8日 16時45分

1945ひろしまタイムラインのロゴ(C)NHK

 広島・長崎は、被爆から75年の節目の夏を迎えた。被爆者の高齢化が進み、核廃絶への思いを若い世代にどう継承していくかが大きな課題となる中、「もし75年前にSNSがあったら?」をテーマに、1945年の広島の3人の若者の日常をツイッターで毎日発信する取り組み「1945ひろしまタイムライン」が注目を集めている。ツイートを発信する企画参加者は、「原爆投下当日だけでなく、一連の投稿を読んで原爆への理解を深めてほしい」と願っている。(北條香子)
 NHK広島放送局の企画で、「当時の広島の人々が何を感じていたのか、ツイッターを通じて同世代の若者に追体験してほしい」との思いから、20代の女性ディレクターが提案。中国新聞の記者だった故大佐古一郎さん=当時(32)、第1子を妊娠中だった主婦の故今井泰子さん=当時(26)、中学1年生だった新井俊一郎さん=当時(13)=が45年に書き残した日記を題材に、それぞれ「一郎」「やすこ」「シュン」としてアカウントを開設した。

福岡奈織さん(前列右から2人目)ら「1945ひろしまタイムライン」の企画参加者(C)NHK

 劇作家の柳沼昭徳さんの監修のもと、広島ゆかりの10代~40代の市民11人が企画に参加。当時の新聞記事を読んだり、親族への聞き取りを重ねるなどし、3人の生活や人柄、世間の空気に思いをはせた。日記の日付に合わせてツイートを投稿しているが、丸写しではなく、現代の人にも共感しやすい言葉に置き換え、想像も交えながら、戦時下の日常の出来事や思いをつぶやく。
 学生時代から被爆証言の継承活動を続けている被爆3世の福岡奈織なおさん(27)は、他の女性2人とともにやすこのアカウントを担当。やすこは新婚で、夫が出征した直後の5月に初めての妊娠が判明。「ここ2週間ほどご飯がいただけません」(5月21日)とつわりに苦しんだり、「一緒に死ぬのならまだ諦めもつくけれど、別れ別れに死んでゆくことを思うと、たまらない」(5月24日)と夫を思う日々などをつづっている。福岡さん自身も今春結婚したばかりで、「自分を重ね合わせる部分もある」という。

テレビ電話で今井泰子さんの娘に聞き取りをするメンバーら(C)NHK

 一郎とシュンは3月から、やすこは5月から毎日ツイッターで発信していたが、企画への関心は8月6日の原爆の日に一挙に高まった。「#ひろしまタイムライン」はツイッターのトレンドで上位に入り、フォロワー数も急増。やすこの「ものすごい光 地響き、家が揺れて 電気のかさやガラスがふきとんで」というツイートは6000回以上リツイートされ、「赤ちゃんも大丈夫でしょうか」などと案じるコメントが並んだ。
 だが6日のツイートばかりが「バズって」(爆発的に広まって)いることに、福岡さんは複雑な心境でいる。「それまでの生活や思いを知った上で初めて、あの日にやすこが感じたことを理解できるのではないか」と思うからだ。
 ツイッターの投稿は年末まで続く。福岡さんは「8月6日に焼け野原になってたくさんの人が亡くなったことだけが原爆じゃない」と力を込める。「ずっと放射能の怖さを感じ、大勢の死傷者を見たトラウマ(心的外傷)と生きなくちゃいけない。原爆とは何だったか、私たちが考え出すのはこれからだと思う」
 企画を特集した番組「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら」は、9日午前6時20分からNHKBS1で放送される。

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