神話の神々身近に 高橋士郎さん「古事記展」 岡本太郎美術館で開催中

2020年8月9日 07時03分

遺伝子のような「生命の神」(右)と雲のような「大気の神」(中)、左下は生物の生息環境などを表す「大事の神」の造形物=いずれも市岡本太郎美術館で

 遺伝子のような「生命の神」がクルクルまわり、ヒトデのような「免疫の神」が六つの肢を動かして活力をみなぎらせる−。日本の古事記に登場する神々などを表現した風船状の造形物が並ぶ「古事記展」が、川崎市多摩区の市岡本太郎美術館で開かれている。ナイロンなどの布でできた作品は、空気を入れて膨らんだり、動いたり。触ってもよく、来館者は神話の神々を身近に感じて楽しんでいる。(安田栄治)
 制作したのは、造形作家の高橋士郎さん(77)。コンピューター制御アートの「立体機構シリーズ」を一九六〇年代に制作。八〇年代からは風船状の「空気膜造形シリーズ」に取り組み、誰にでも親しまれるアートとして人気を集めてきた。
 古事記展は、高橋さんが空気膜造形研究の集大成として古事記に挑み、二〇一九年までに制作した神々の造形物四十点で構成されている。出雲神話に登場する須佐之男命(すさのおのみこと)がモチーフで一九八二年の「くにびき国体」(島根県)でシンボルとなった故・岡本太郎さんの彫刻作品も特別展示している。

ヒトデのような形で六つの肢を動かす「免疫の神」(右下)。「浄化の女神」(中)と「再生の神」(左)の三つの造形物が展示を締めくくっている

 古事記の冒頭でさまざまな神が生まれてくるところを六つのコーナーに分けて紹介。「細胞」「思考」の神などから始まり、「再生」「免疫」の神、「浄化の女神」で最後を締める。
 担当者は「造形物はものすごく広い視野でとらえたもので一つ一つがパワフル。来場した子どもたちも、触って、そのエネルギーを感じています。再生、免疫の神、浄化の女神に触れて、新型コロナウイルス感染症に打ち勝ってほしい」と話している。

「岩石の神」の作品に触れる男性。左奥は「大地の神」の造形物

 同館は入館時の検温、アルコール消毒のほか、作品を手で触れる展示室の入り口と出口でもアルコール消毒を徹底することで、新型コロナ対策を図っている。
 古事記展は十月十一日まで。開館時間は午前九時半〜午後五時(入館は同四時半まで)。休館日は月曜日(八月十日、九月二十一日をのぞく)と八月十一日、九月二十三日。観覧料は一般九百円、高校・大学生、六十五歳以上七百円、中学生以下無料。問い合わせは、同館=電044(900)9898=へ。
<たかはし・しろう> 1943年、東京都出身。多摩美術大卒。69年に立体機構シリーズ「揺れる立方体」を発表して造形作家デビュー。翌年の大阪万博で同シリーズの巨大モニュメントを制作。その後、風船を素材とした「空気膜造形シリーズ」を考案した。98年に同大情報デザイン学科教授に就任し、2003年から07年まで同大学長を務めた。

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