【動画あり】1万人怒りのレバノン反政府デモ 大規模爆発受け衝突、警官1人死亡

2020年8月10日 05時57分
 【カイロ=蜘手美鶴】大規模爆発で多数の死傷者が出たレバノンの首都ベイルートで8日、政府の退陣を求める1万人規模のデモがあり、警官1人が死亡、230人超がけがをした。昨年から続く経済危機に加え、爆発への政府対応を巡って市民から激しい怒りが噴出。ディアブ首相は早期選挙を表明したが、収まる気配は見えない。
 デモは爆発現場近くの広場であり、多数の市民が「政府は退陣しろ!」などと叫びながら周辺を埋め尽くした。デモ隊の投石に警察が催涙ガスで応じるなど現場は混乱。一部の参加者が政府庁舎を一時占拠したり、建物に放火するなどして警官隊と衝突した。
 レバノン政府によると、爆発による死者は158人、負傷者は6000人超と増え続けている。
 爆発をきっかけに拡大した反政府デモの沈静化を図ろうと、ディアブ首相はテレビ演説し、議会を解散して早期選挙の実施を表明。「新しい議会なしに問題は解決できない」と呼び掛け、2022年5月予定の次回選挙を前倒しする考えを示した。また、爆発に対する責任は政府が取るべきだとして、一部の議員や閣僚が辞任する動きも出ている。
 レバノンでは昨年10月以降、増税方針や失業問題などの不満から反政府デモが全土に拡大し、ハリリ首相(当時)が辞任した経緯がある。デモは断続的に行われてきたが、今回の爆発を受けて激化。一向に改善しない経済状況や長年続く腐敗政治への憤りも再燃し、政府退陣を求めるデモとなっている。
 爆発後の原因調査を巡っても政府への批判は強い。透明性の確保のため国際調査を求める市民に対し、アウン大統領は「時間の無駄だ」などとして拒否した。政府は港湾関係者ら約20人を拘束して調べているが「責任は政府にある」との声が根強い。
 裕福な政治エリートと生活に困窮する市民の間の格差は広がる一方で、失業率は30%を超えた。爆発による損失は150億ドル(約1兆6000億円)ともいわれ、デモに参加した無職ヤクート・ダンドゥーシさん(37)は「爆発で多くの命が失われ、経済悪化で仕事もない。私たちは早期選挙ではなく政治改革を求めている」と怒りをにじませた。

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