<つなぐ 戦後75年>記憶と記録 次世代に 「戦争は絶対しないよ」 気持ち忘れないで

2020年8月10日 07時04分

◆日本橋公会堂で映画祭 渡辺美佐子さん語る

戦争体験や出演映画について語る渡辺美佐子さん=中央区の日本橋公会堂で

 長崎への原爆投下から七十五年の節目を迎えた九日、「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」が中央区日本橋蛎殻町の日本橋公会堂で開かれ、俳優の渡辺美佐子さん(87)のトークショーがあった。
 渡辺さんが出演した「月光の夏」「誰がために憲法はある」を午前と午後、それぞれ二回ずつ上映。トークで空襲などの戦争体験や戦後の窮乏生活を語った渡辺さんは「戦争でひどい目に遭って人間らしさをなくさせられた生活が当たり前だったところに、『戦争は絶対にしないよ』という憲法ができて、本当に喜んだ。そういう気持ちを忘れないで持ち続けたい」と話した。今月三十日に長崎で開かれる朗読劇で披露される台本の一部も朗読した。
 映画祭は「昭和文化アーカイブス」が主催。二〇一二年から毎夏開催してきた「新藤兼人平和映画祭」を今年から改名した。コロナ禍で見送りも検討されたが、「このままでは戦争の記憶が薄れ、映画文化も危うくなる」と感染予防対策をして実施、百人あまりが集まった。(安藤淳)

◆恒例「柴又から考える」今年は動画で 15日

ビデオカメラに向かって紙芝居を上演する宮沢一夫さん(左)ら(葛飾区提供)

 葛飾区は毎年、終戦記念日の十五日にイベント「柴又から戦争を考える」を開いている。今年は、新型コロナウイルスの影響で現地での開催を見送った。代わりに、紙芝居や防空壕(ごう)内部の様子を十五日に動画で配信し、平和について考えてもらう。
 紙芝居で郷土史などを伝える「葛飾昔ばなし研究会」は戦争にまつわる作品を上演してきた。今回は三月に完成した新作「東京初空襲で水元の少年がうたれた」を選び、ビデオカメラに向かって披露した。コロナ禍で上演できずにいたため、今回が初演になる。
 新作で取り上げた一九四二年の「ドーリットル空襲」は、太平洋戦争中に米軍機が初めて本土を襲った空襲とされる。水元国民学校高等科(現在の中学)に入学したばかりの石出巳之助さんが銃で撃たれて亡くなっており、葛飾区との関係は深い。
 収録を終えた研究会の宮沢一夫さん(73)は「動画を通じて、普段イベントに来ない人にもこの作品が届いてほしい。家族で見て、戦争や平和を考えるきっかけにしてもらえたら」と動画配信ならではの効果に期待する。
 防空壕は、区の観光施設「山本亭」の地下にあり、普段は非公開。区観光課の谷口栄学芸員が壕に入り、六畳が二間ある広さや、シャワー室や空調が備わる内部の特徴を動画で紹介している。これらの動画は、区がユーチューブに開設している公式チャンネルで公開する。(加藤健太)

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