「歌えるマスク」できました 東京混声合唱団が開発 ヒントはベリーダンス

2020年8月10日 07時14分

マスクを着用したコンサートの様子 (c)落合由夏(東京混声合唱団提供)

 飛まつが飛ぶカラオケや合唱が敬遠されがちなコロナ禍。歌のプロ「東京混声合唱団」(新宿区)が先月、合唱用マスク「歌えるマスク」を開発、販売を始めた。合唱ファン待望の商品で、全国から注文が相次いでいる。
 合唱用マスクは扇形で、口元はおおわれているが、あごは固定されない。口とあごの動きを制限しない構造になっている。
 開発に参加した団員の大沢結衣さん(32)も「息を吸いやすく、歌いやすい」と出来栄えに胸を張る。「マスクをして歌うのは合唱ではありえないが、新しい生活様式では必要になる」と話す。

合唱用のマスクを着けて練習する東京混声合唱団の団員ら=新宿区で

 同合唱団は一九五六年に創立された日本を代表する合唱団。東京、大阪での定期演奏会や国内外のオーケストラとの共演など数多くのコンサートを通じて合唱の素晴らしさを伝えてきた。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、同合唱団の活動にも影響を及ぼし、二月末のコンサートを最後に、中止が続いていた。
 さらに、岐阜県可児市の合唱団で複数の団員が感染する集団感染が発生。歌うことへの危機感が広まる中、同合唱団はプロとしてのプライドと、ウィズ・コロナ時代の価値観に対応するため、マスクを着用しての公演再開を目指すことにした。
 当初は市販のマスクを試したが、息を吸う時、口に密着して使えなかった。
 事務局長の村上満志さん(72)は複数のメーカーやアパレル会社に合唱用マスクの制作を依頼したが、どこからも「半年はかかる」と言われた。
 「自分たちでつくるしかない」。村上さんと団員らは六月からマスクづくりに取りかかった。歌えるマスクを目指して、形状や素材をいくつも試作しながら試行錯誤を重ねた。
 村上さんも知り合いを通してマスクを縫ってくれる洋裁家を見つけた。扇形のような形状は、エジプト発祥で世界最古といわれるベリーダンスでダンサーが顔から下を隠すフェースベールからヒントを得た。

シックな黒いマスクも

マスクを試作する団員(東京混声合唱団提供)

 音響の専門家に分析を依頼。マスクをした時と、しない時で聞こえ方にほぼ差はないとの結果を得た。
 七月三十一日、池袋の東京芸術劇場で約五カ月ぶりとなるコンサートが開かれた。客席の間隔を空けるなど感染対策を実施したほか、約三十人の団員は、合唱用マスクを着用。美しいハーモニーを響かせた。
 先月末から同合唱団で注文の受け付けを始めた。全国のアマチュア合唱団からの問い合わせや注文が相次いでいる。
 村上さんは「歌うのをためらっているアマチュアの皆さんにプロの立場で合唱活動の方策を示したい」と話す。
 歌えるマスクは千三百円(税別)。注文は十枚以上から受け付ける。発送は九月以降になる見込み。
 問い合わせは同合唱団=電03(3200)9755=へ。
 文♪砂上麻子 写真♪坂本亜由理
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