<ひと物語>生活の改善 お手伝い 熊谷の眼鏡専門店ショップマネージャー・辻村正幸さん

2020年8月10日 07時21分

眼鏡のフィッティングを調整する辻村さん=いずれも熊谷市で

 落ち着いた物腰に、眼鏡ひと筋三十五年で培ってきた自信に満ちた話しぶりが特徴的だ。客が扉を開けて店内に入ってきただけで、顔つきや服装などから「気に入りそうな眼鏡が即座に五、六種類は浮かぶ」と豪語する。
 辻村正幸さん(53)。熊谷市役所近くの眼鏡専門店「グラス・アーカス」でショップマネージャーを務める。高校卒業後、東京の大手眼鏡店で働いたことがきっかけで、この道に入った。当時は特に思い入れはなかったが、眼鏡ひとつで顔つきが明るくなったり、生活が改善されたりする様子を見て、徐々に魅力にはまり込んだ。
 アンティークな雰囲気の店内には、日本や米国、フランスなどの二十三のブランドの眼鏡やサングラスが千種類以上並ぶ。フレームの好みは感覚的だが、レンズの選択には技術的な裏打ちを要する。正確に課題を把握するため、聞き取りや検査に二時間以上をかける。「問診」と呼ぶ行為は、まるで医者のようだ。
 最近は特に、スポーツなどで役立つレンズの機能性に注目。「長年勉強してきて、要望に応えられるようになってきた」と語る。目は奥行きや位置を把握して脳に伝える役割を担っている。ずれがあると、脳もそれを誤認し、運動機能に影響するという。
 例えば野球。「バットでボールを打つとき、『ボールをよく見なさい』とコーチが指導する場面はよくあるでしょ」と辻村さん。「うまく打てない子どもに、罰としてランニングを科すのは理にかなっていない。見ようとしているのに見えていないかもしれない。見えるような目の訓練を考えるべきです。視覚のずれで、ボールが正確に捉えられていない可能性も考えた方が効率的です」

おしゃれなレイアウトの店内に、たくさんの眼鏡が並ぶ「グラス・アーカス」

 目の機能をテストする器具をそろえた。物体との距離感や奥行きを把握する力や、左右や縦方向の動体視力、左右の目のずれなどを判定できる。持って生まれた能力差はあるが、レンズである程度の矯正が可能で、運動能力の向上に役立つことがある。老化で衰えた能力を補うこともできるという。
 バイクの運転でヘルメットをかぶっても窮屈にならないフレームや視野を広げるレンズ、夜間でも見やすいレンズなどが、安全運転につながる。評判を聞きつけたバイクの愛好家らが北海道や九州など遠方から訪ねてくることも増えたという。
 「目の役割と眼鏡の可能性に気付いてほしい」と辻村さん。「これからも眼鏡で生活を改善するお手伝いをしていきたい」(渡部穣)
<つじむら・まさゆき> 栃木県出身。父親の仕事の関係で小学校から岡山市で暮らし、高校卒業後の18歳で都内の大手眼鏡店に就職し上京。以来、眼鏡にかかわり続けてきた。長女の小学校入学を機に、妻の実家がある県内に移住。2011年春から熊谷市役所近くの眼鏡専門店「グラス・アーカス」で理想の眼鏡を追求している。

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