温められない旧交

2020年8月10日 07時38分

 東京都近県に住む叔父が亡くなった。葬儀について遺族から連絡をもらったが、東京在住の当方に、「コロナのこともあるし、無理して来てもらわなくても…」と微妙な言い回しだ。お互い、感染させる、するのが怖い、という思いが伝わる。結局、参列は見送り、香典だけ送った。同様の対応にとどめた親族は多かったようだ。
 四月に都内で予定していたおいの結婚式はいったん八月に延期した後、さらに来年四月に再延期した。おいの高齢の祖母は、時期のいかんにかかわらず、出席しないという。
 間もなくお盆だが、高齢の親が待つ実家への帰省をどうするか、悩む人も多いようだ。
 新型コロナは経済社会全般に大打撃を与えるだけでなく、家族や親族で旧交を温める身近な機会をも次々と奪っていく。核家族化で、ただでさえ希薄になりがちな人間関係がますます、疎遠になっていく。祖父母に人見知りをする孫たちも増えそうだ。
 在宅勤務と同様、オンラインを活用して交流すればいいのかもしれない。しかし、高齢者や幼児など、使いこなせない人も多いのではないか。なにより、ネットでは触れ合いもぬくもりもない。対面が一番、膝つき合わせてこそなんぼ、の人間関係だったはずだ。
 まだまだ先は見えない。コロナとともに生きるとは、こういうことなのか。違和感はなかなか、ぬぐえない。    (熊倉逸男)

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