レバノン爆発、シリア難民に逆風 主要港破壊で支援物資の輸送困難に

2020年8月11日 05時55分
爆発による煙が上がるレバノンの首都ベイルート=4日(ロイター=共同)

爆発による煙が上がるレバノンの首都ベイルート=4日(ロイター=共同)

 【カイロ=蜘手美鶴】レバノンの首都ベイルートで起きた大規模爆発で、シリア難民にも逆風が吹いている。破壊されたのがシリアへの支援物資を届ける主要港だった上、爆発と経済危機に苦しむレバノン人の一部から「シリア人は国に帰るべきだ」との声も上がっているためだ。
 爆発があった港はレバノンの輸出入を担う主要港。国連などからシリア国内へ運ばれる支援物資の玄関口となっていた。シリア国内避難民は610万人に上り、国連は「シリアでの支援活動に影響が出るのは必至。別の輸送ルートを探す必要がある」と懸念を示す。
 シリア政府によると、爆発の死者158人のうち約3分の1がシリア人で、安い労働力として港で働いていた人たちが犠牲になったとみられる。
 2011年にシリア内戦が始まって以降、隣国レバノンは難民受け入れの主要国となり、現在も約150万人が暮らす。失業率30%を超えるレバノンでは、低賃金で仕事を得るシリア人難民への風当たりは強い。
 爆発後、一部では難民を「送り返すべきだ」との声も上がる。シリア東部デリゾールから来たハリド・ガージさん(25)は取材に「差別されるので難民であることを隠している」と嘆いた。
 旧宗主国のフランスなどは9日、ビデオ形式の国際支援会議を開催し、約30の国・機関から2億5000万ユーロ(約315億円)分の支援を確約。「レバノン人の手に直接届けられるべきだ」と声明を出し、政治腐敗で非難が集まるレバノン政府をけん制した。

関連キーワード

PR情報

国際の新着

記事一覧