「世界最悪」レベルの事故から9年半に 空から見た福島第一原発の今
2020年8月11日 23時03分
東京電力福島第一原発事故の発生から9年半になろうとしている。原発取材班は8月4日、本社ヘリ「あさづる」で原発や周辺の被災地を上空から取材した。現地の状況を報告する。 (山川剛史、隈崎稔樹)
東京・新木場のヘリポートから1時間あまりで上空に差しかかった。
「また施設が増えた」。原発周辺には、除染で出た汚染土などを長期管理する中間貯蔵施設が広がる。約1600ヘクタールの敷地は、東京都中野区や渋谷区の面積より大きい。国は用地の約73%を確保した。訪れるたび、県内各地から運ばれた大型土のうの山と、分別・貯蔵施設が増えることに驚く。
原発に視線を移すと、汚染水を浄化処理して貯蔵するタンクがひしめく様子は相変わらず。120メートルの高さがあった1、2号機排気筒は、トラブル連続の半年かけた解体作業で半分に。
水素爆発による大穴が開き、みすぼらしい仮屋根が置かれていた3号機のタービン建屋屋上はがれきがほぼなくなり、真新しい白いカバーがかけられていた。
炎天下、作業員が動き回る姿も。水漏れリスクの高いボルト締め型タンクを解体、溶接型に置き換える作業に追われていた。
1、2号機では使用済み核燃料の取り出しに向けた準備が進むものの、むき出しとなった1号機原子炉建屋上部には大量のがれきが残る。事故収束作業は、まだまだこれからだ。
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