「安倍首相は説明を」新型コロナ第1波から見えた教訓

2020年8月14日 05時50分
<検証・コロナ対策 番外編>
 東京新聞は、7月14日~8月8日に掲載した全12回の連載で、新型コロナウイルスの第1波への対応を検証した。収まったかに見えた感染が再び勢いを取り戻す中、第1波から何を学ぶべきか。連載から見えた主な教訓をまとめた。 (コロナ検証取材班)

◆最悪想定して病床確保を

 政府は当初から、感染が広がれば病床が逼迫ひっぱくすると予想していた。2月、大型クルーズ船での集団感染時も、患者の搬送先を探すのに苦労した<3・初動>。だが有効な手を打てず、4月の感染拡大に直面。病床だけでなく医療物資も不足し、医療崩壊寸前に追い込まれた<9・切迫>。
 6月下旬からの感染再拡大に、政府は「医療体制は逼迫していない」「4月と状況は異なる」と説明する。いま余裕があっても、病床確保には入院患者の転院などで時間がかかる。「4月は準備に3週間かかった」と病院関係者は言う。
 第1波を経験した多くの病院が人的、経営的に疲弊している。感染者が急増する沖縄県ではいま、病床不足が深刻化しつつある。病院への支援を強め、最悪のケースを想定して備えるべきだ。

◆検査体制の拡充は不可欠

 10年前、政府の有識者会議は検査体制の強化を提言していた。第1波ではそれが不十分だったため、症状のある人や重症者に検査が絞られた<8・予言>。コロナは症状がなくても感染を広げるリスクがあり、検査体制の拡充は不可欠だ。
 特に病院や介護施設など重症化リスクの高い施設での検査が重要だ。院内感染の発覚が遅れた永寿総合病院(東京都台東区)では大きな被害が出た<7・連鎖>。4月の流行は空港での検査が不十分だったことが発端になった<1・岐路>。海外との交流を再開するなら検疫も重視すべきだ。
 検査能力を増やすだけで問題は解決しない。4月は検査の入り口となる保健所に業務が集中<2・限界>。感染者の追跡調査や相談業務などで多忙を極め、検査にすらたどり着けない目詰まりを起こした。増員や負担軽減、保健所を通さず検査できるPCRセンターの拡充などが求められる。

◆欠かせない役割分担と情報公開の徹底

 第1波では、対策を担う政府と都道府県で役割分担が曖昧だったため混乱を招いた<10・対立>。連携を深めやすい仕組みをつくった上で両者の権限を明確にし、知事の裁量を広げれば、各地の実情に沿って柔軟な対応が取りやすくなる。知事からは法改正を求める声も高まっている。事業者に休業を要請しても補償規定がないためだ。
 安倍晋三首相は専門家らに相談せず、一斉休校を決めた<4・唐突>。五輪を開催できるかが焦点となる中<5・思惑>、都は感染予測文書の一部を公表せず廃棄した<6・一転>。国民への説明責任を果たす姿勢と情報公開は欠かせない。

◆分科会は政治に遠慮せずに科学的な見解を

 政府は計200兆円超の補正予算を組んだ。だが、本当に困っている人に支援が行き渡ったとは言い難い<11・迷走>。観光支援事業「Go To トラベル」は「感染拡大が収束し、国民の不安が払拭された後」に実施すると閣議決定したが、感染が再拡大する中で事業を前倒しした対応は理解し難い。
 感染拡大に警鐘を鳴らしてきた政府専門家会議は廃止され、分科会が発足したが、積極的な発言は鳴りを潜めた<12・逆転>。政府の方針に追従するのではなく、必要とあれば政治に遠慮せず科学的な見解を示すべきだ。

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